ブックタイトル森林のたより 746号 2015年11月

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概要

森林のたより 746号 2015年11月

森林の野生動物をリアルタイムで知る恵みの森林の住人たちもり23特任助教森部絢嗣岐阜大学応用生物科学部附属野生動物管理学研究センター野生動物を観察する方法として、目視等で直接観察する直接観察法とカメラ等で観察する間接観察法がある。直接観察法では、目的を果たすために現地まで足を運び、対象を探し見つける必要がある。対象が夜間に活動するのであれば、それに合わせた装備が必要となる。もちろん、人の気配によって対象が逃げることもあり、観察する技術も必要となる。一方、間接観察法は、カメラ等を設置さえすれば、その後は現地に行かなくても対象の観察が可能で観察の労力を省くことができる。機材を購入する費用や場所の限定などのデメリットも大きいが、人の存在による影響を最小限にでき、普段は見ることのできない野生動物の姿を記録できることは大きなメリットであろう。森林のたより2015年5月(No.740)12~13ページにトレイルカメラの紹介をしたが、本号では新たにリアルタイムで現場を知ることを可能とした最新のトレイルカメラをご紹介する。【リアルタイムで現場を知ることができるトレイルカメラ】ハイクカムSP158?J(ハイクストア社製:http://hyke-store.co m/?pi d=86600340)は、携帯電話の3G通信網を利用した画像送信機能が付いたワイヤレス自動撮影カメラである(図1)。NTTドコモのFOMAエリア内であれば、カメラで撮影した画像を指定のEメールアドレス(4つまで)へ送信することができる。現在のところ、このような3G搭載のトレイルカメラは、日本で本機種のみである。本体価格は、64,800円(税抜)で、一般的なトレイルカメラの2倍ほどである。通信には、3G回線を使うためのSIMカードの初期費用が約3,000円と月々の通信費用630円がかかる。あとは、単三電池(4~12本)とSDカードを搭載することで使用可能である。本体の重さは410gで、大きさは縦15cm×横12 cm×奥行7・2cmである。設置は、付属のベルトで木にくくりつけたり、三脚等のネジにもつけたりする。バッテリーの持ちは、使用条件によって大きく異なるが、ニッケル水素電池であるエネループを12本で運用した場合でおよそ500枚の撮影が可能である。高価ではあるが、寒さにも強い単三リチウム電池やオプションの外部バッテリーやソーラーパネルの利用でさらに長期間稼働させることもできる。取扱説明書や設定メニューは日本語表記であるため、初心者でも使いやすい。カラー液晶もついているため、現場で撮影された画像を確認できるので構図設定や状況確認に便利である。このカメラを扱うハイクストアでは日々、本体のシステム(ファームウェア)の改良が進められており、最新版にアップデートすることによって、同じ機種でも使い勝手を向上させている。これは日本の他機種でほとんどみられないサービスである。【トレイルカメラSP158の利用~その1捕獲~】このSP158は、撮影モードを変更することによって、幅広い分野で利用が可能である。図2は、ニホンジカが箱わなで捕獲された様子である。ニホンジカが現れた画像(20時11分)が送られてきた2分後の画像(20時13分)ではニホンジカが箱わなで捕獲された状態であった。この時点で明朝の止めさし(殺処分)の計画が立てられる。今回の場合、大きなオスのニホンジカであるため、搬出には人手がいるので夜のうちに手配することができた。例えば、くくり罠に大きなイノシシが捕獲されていれば、不必要に何度も近づく前に装薬銃で離れた位置から安全に止めさすことができる。その他にも止めさし時間を早朝に変図1.ハイクカムSP158-JMORINOTAYORI 10