ブックタイトル森林のたより 746号 2015年11月

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概要

森林のたより 746号 2015年11月

戦後、拡大造林した森林は利用期を迎え、今後主伐と再造林の増加が予想されます。そこで、再造林の低コスト化に欠かせない苗木として、コンテナ苗が注目されています。岐阜県においても、昨年度から苗木生産者がコンテナ苗の生産を開始しています。また、今年度には、民間企業が県有地において生産施設を整備しコンテナ苗の生産を開始する予定です。コンテナ苗の特徴1根巻がないコンテナ苗は、苗木を育てる孔が並んだプラスチック容器(マルチキャビティコンテナ等)で育成されたもので、ヤシ殻ピートを主とする培地に根が伸長・充満することで型崩れしにくい根鉢が形成されます。(写真1)コンテナの内部には、リブと呼ばれる突起があり、このリブに沿って根が伸びるため、従来のポット苗で見られる根巻は生じません。(写真2)2植栽可能な期間が長い根に土がついた状態で植栽するため活着が良く、真夏や冬期間を除いて、植栽可能な期間が長くなります。このため、伐採後直ちに植栽する場合に使いやすく、低コスト化に繋がると考えられます。3植栽作業の効率化裸苗のように30cm程度の穴を掘り、根を広げて植える必要がなく、唐鍬による一鍬植えや専用の植栽器具により簡易に植栽することが可能であり、植栽作業の効率化が図れると言われています。(写真3)以上が、コンテナ苗の良い点ですが、悪い点もあります。それは、価格です。現在、コンテナ苗の価格は、裸苗の1・5倍以上です。裸苗は、3年生が主流ですが、コンテナ苗は生産期間の短縮が可能であり、今後、苗の低価格化が進むことを期待します。コンテナ苗の県内生産状況県内では、15名の方が苗木生産を行っており、平成26年度は約18万本を生産しています。しかし、コンテナ苗については、1名の方が平成26年度から生産を開始し、今年度に約4千本を出荷したのが県下初となりました。県では、コンテナ苗等の生産を推進するため、生産施設の整備に対する支援事業(岐阜県苗木生産施設等導入事業)を今年度創設しました。その結果、新たに7名の方がコンテナ苗の生産を開始しました(9月末現在)。その生産目標本数は約27万本であり、平成26年度の生産量を大きく上回る目標値です。民間企業との連携による苗木生産県では、民間企業が持つ優れたコンテナ苗生産技術の導入を図るため、県の下呂林木育種事業地に民間企業による苗木生産の誘致を目的とした公募型プロポーザルを実施しました。そして、平成27年3月25日、住友林業㈱と「岐阜県苗木供給体制事業に関する事業協定書」を締結しました。住友林業㈱は、平成24年5月、宮崎県日向市にコンテナ苗生産施設を建設し、年間20万本のコンテナ苗を生産しており、高い生産技術を有しています。(写真4)現在は、県が用地造成を行うための測量設計が完了し、用地造成工事を11月に発注する予定です。その後、住友林業㈱がハウス等の施設を整備し苗木生産を開始、3年後に約20万本の生産体制を整える計画です。県内の苗木生産者が長年をかけて培ってきた生産技術と、住友林業㈱のコンテナ苗生産技術とが連携を図り、優良なコンテナ苗が県内に安定供給されることを期待します。【森林整備課根崎浩和】低コスト造林に期待が高まるコンテナの生産について写真1マルチキャビティコンテナとコンテナ苗(右1本は裸苗)写真3宮城式ディブルによる植栽状況(器具で穴をあけ苗を差し込む)写真4住友林業㈱の生産施設(宮崎県日向市)写真2コンテナの内面リブ●詳しい内容を知りたい方はTEL058ー272ー1111内線(3194)森林整備課整備係までMORINOTAYORI 20