ブックタイトル森林のたより 746号 2015年11月

ページ
7/22

このページは 森林のたより 746号 2015年11月 の電子ブックに掲載されている7ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

森林のたより 746号 2015年11月

活かす知恵とを森林人35森林の機能区分を考える●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525森林文化アカデミーまで岐阜県立森林文化アカデミー教授●池戸秀隆●アカデミーの演習林本校には、33haの演習林があります。演習林の一角にある針葉樹林は、チェーンソーを使った立木の伐倒・造材や架線を使った集材など林業技術の学びの場となっています。また、隣接する広葉樹林の市有林とは、林道や作業道でつながっており、地元の方々が散策に訪れるなど、健康増進の場としての活用も見られます。森林には、さまざまな機能があり、これを享受しています。●森林の多面的機能森林が有する機能としては、水源涵養機能、山地災害防止機能/土壌保全機能、快適環境形成機能、保健・レクリエーション機能、文化機能、生物多様性保全機能、地球環境保全機能、木材等生産機能の八種類に分けられます。本校の演習林には、どのような機能があるのか。学生と調査してみました。●現場で評価してみる予め特徴ある10地点を選んで地図に落とし、5つのグループに分かれ、地図を見ながら踏査しました。ある場所には、常水が流れる谷があって、そこには大きな岩場もあり、麓には「山の神」が祀ってあります。新学期になると学生や教職員等で安全祈願を行っているので、文化機能が高い。あるいは水源涵養機能がある。と評価する意見が聞かれました。一方で、岩盤が風化して落石もみられるので、周囲の森林は山地災害防止に役立っていると評価する意見もありました。いずれの評価にも実態が伴っており、否定されるものではないようです。●遠くから離れてみるそこで、視点を変えようとアカデミーの全景を眺望できる近くの小倉山の展望台に登ってみました。普段は通らない裏側の歩道に回り道して、長良川に面した急な崖を見ながら、落石防止保安林の説明を行い、ロックネットが施工された様子を観察して山頂へ向かいました。展望台に上がって、北東方向を探すと、六月に小面積皆伐された演習林をすぐに見つけることができました。学生に、「どう見える?」と質問したところ、「下流に田畑が見えないし、市民の取水源も長良川だろうから、水源涵養と評価するには自信がない。」といった意見が聞かれました。●見えないものが見えてくる市町村森林整備計画のゾーニングでは、水源涵養機能や土砂流出防止の土壌保全機能は、面的な森林の広がりによって発揮される性質を持つことから、広い範囲にゾーニングを設定します。一方で、土砂崩壊防止の山地災害防止機能、快適環境形成機能、保健文化機能は、属地的に発揮される性質を持つので、特定の区域にゾーニングを設定することになります。森林機能を判断する場合、少し離れて俯瞰的に観察することで見えてくるものがあるようです。▲小倉山から見た演習林▲「山の神」周辺MORINOTAYORIMORINOTAYORI7