ブックタイトル森林のたより 750号 2016年03月

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概要

森林のたより 750号 2016年03月

●詳しい内容を知りたい方はTEL050ー3160ー5675中部森林管理局東濃森林管理署までぎふの国有林、今恵那農業高校生が国有林等で森林管理や林業などの現場を学ぶ林野庁中部森林管理局東濃森林管理署森林技術指導官桂川佳之5はじめに東濃森林管理署では、岐阜県恵那農林事務所と連携して東濃地域で唯一林業関係のカリキュラムがある岐阜県立恵那農業高等学校の生徒に対して、国有林を活用した森林の見学や林業体験、林業現場の視察等を実施しています。本年度も、この取組を実施しましたのでご紹介します。取組を始めるに至った経緯平成24年度、当署では、平成25年度事業を検討するに当たって、森林・林業への理解醸成を目的に「学校教育における国有林の活用」について検討していました。他方、恵那農林事務所及び恵那農業高校では、県の「農林高校生林業促進事業」や「森と木と水の環境教育支援事業」の実施内容等について検討していました。その年に実施した署と農林事務所の会議において、こうした双方の課題について、何か連携して実施できないか検討したところ、恵那農業高校環境科学科1年生から3年生を対象に国有林をフィールドとした学習・実習を計画することになりました。その結果、1年生は「伐採から家造りまでの一連の学習」、2年生は「森林生態や森林管理・植生に関する学習」、3年生は「森林管理(間伐)の学習と実習」をテーマとすることになりました。取組は、平成25年度に1年生からスタートさせ、平成26年度には、2、3年生を対象にした取組を始めました。以下、平成27年度の取組についてご紹介します。第1回目「地域の森林植生を高校生に伝える(木曽ヒノキ備林)」8月6日(木)、2年生38名を中津川市加子母の加子母裏木曽国有林にある樹齢300年を超す「木曽ヒノキ備林」へ案内しました。700haを超える天然林や伊勢神宮の「第62回式年遷宮御神木伐採跡地」及びヒノキとサワラが上下に合体している「合体木」などを見学し、署職員の説明により東濃地域の森林・林業の歴史、神宮との関わり、木曽ヒノキの成立過程などについて学びました。生徒達からは、「地域の森林の歴史を学べてよかった。」、「普段見ることができない広大な木曽ヒノキ林に感動した。」などの感想が聞かれました。第2回目「間伐体験(国有林間伐事業地での体験学習)」10月2日(金)、3年生8名が当署の間伐事業地(恵那市明智町明知国有林生産性向上モデル事業地)でチェンソーでの伐倒体験をしました。体験の前に間伐の目的、必要性などの説明を行った後、事業実行事業体職員の技術的な指導の下、代わる代わる人工林ヒノキの伐倒に挑みました。生徒たちはチェンソーの取り扱いは、学校で習っていたようですが、立木の伐倒は初めてで、木の傾きや、伐倒方向を確認しながら、慎重に作業を進めました。初めは、戸惑いながら行っていましたが、何本か伐倒しているうちに上手に伐れるようになりました。生徒達は、「伐倒は、気をつかう難しい作業。でも、体験して良かった。」、「林業は、自然・森林を守る仕事であることを理解した。」と感想を述べていました。第3回目「木材産業の流れを学ぶ(生産から加工・建築)」10月14日(水)、1年生40名が、木材生産から建築までの一連の流れを学びましたま。ず、前述の明知国有林の間伐搬出現場を東濃署職員が案内し、実際にプロセッサやグラップルなどの高性能林業機械を使用して樹齢約60年の人工林ヒノキを伐出する様子を見て、機械化されている様子に興味を示していました。次に、恵那農林事務所の案内で恵那市にある岐阜県森林組合連合会東濃林産物共販所や恵那小径木加工協同組合及び東濃地域木材流通センターを訪れ、共販所では、山から搬入された材の選別、販売方法、材の値段などの説明を受けました。小径木加工組合では、普段家で目にする柱や板が製品化されるまでの工程を見学しました。木材流通センターでは、用途別に材があり、その材で家や建築物などの造りが成り立っていることを学び、材の流通の一端を理解したようでした。この見学で、恵那農林事務所が生徒達にアンケートを取ったところ、「将来の仕事として魅力的であった」が12%、「仕事としてはまだ考えられないが興味を持った」が83%で、少しでも森林・林業について関心を持っていただいたところです。まとめこのように、恵那農業高校、恵那農林事務所との連携による国有林を活用した取組は今年度で3年目となります。東濃地域の森林・林業に関心を持ち、行く行くは関連する職業に携わってくれることを望んで、今後も3者連携によるこの取組を続けてゆきたいと考えています。▲合体木の見学の様子▲慎重に伐倒に挑む生徒▲流通センターでの見学MORINOTAYORIMORINOTAYORI13