ブックタイトル森林のたより 750号 2016年03月

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概要

森林のたより 750号 2016年03月

和田光雄(74)森恒樹岐阜県郡上市平成22年取材「森の名手・名人」とは、森に関わる仕事や地域生活に染み込んだ営みのうち、優れた技をもってその業を極め、他の模範となっている達人で、毎年、全国で約100名が選定されています。岐阜県においては、現在、45名の「森の名手・名人」がいます。この「森の名手・名人」を「森の”聞き書き甲子園“」に参加した高校生が「聞き書き取材」をしたものの中から誌面の関係上要点を抜粋したものです。なお、年齢、住所、学年は取材当時のものです。37森の名手・名人シリーズ岐阜県立郡上高等学校三年名人聞き手の少ない材を作るってことなんですね。早く技を落としとけば、節のない丈夫いものがひとなるということ。木は子供と一緒で、小さいうちから手入れをして育ててこそ、ええ木ができるんですわ。枝打ちはカーツカッターで全部やるんですわ。僕がカーツカッターを使いだいてから一人前になるのは、10年かかったです。枝打ちの一番最初は鋸のこで、次、鉈なたで、次に昭和50~55年くらいから普及し始めたのが、カーツカッターです。木によって違うんですけんど、普通、20年から25年経った木を60本から100本くらい枝を落とします。枝打ちせる時は、8m、10mも登って枝を打ったこともあるんですけど、そんでも命綱をつけてやりゃ危険は昔みたいにはないと思う。樹幹をなるべく傷をつけんように、枝の分で止めな駄目なんです。そうせんと、健康でない木にしてまうんですね。そうすると害虫が入るんです。上手に打てば、腐りが入らん。腐りが入ると売ることはできるけんど、そうなると価値が下がるんですね。それは、製品にしてみんと分からんです。〈苗木作り〉優良品種の挿し木の苗木作りは、杉で父親が昭和20年以上前から始めとるんです。挿し木は、山で枝を取ってきて、2年土に埋めて苗にしてまた山に行き植えるやり方。杉の枝を切って育てれば、そのまま同じ杉が山にできていくという方法をとっとるんです。挿し木は、100年経った木から採った枝でも、2年すればそれに根がついて、おんなじ木がひとなるってことです。元が一緒ですから。ええ杉から枝をとってきたやつが、優良挿し木ですわ。杉でも品種があるんです。僕の山では、30種類くらいはやっとるでしょうね。杉はどんすね。父親も山が好きで、山仕事を随分やってました。あんな長い時間のかかる仕事したってだ駄目だしかんって、笑われるようなことやっとるんじゃって喜んどったです。それが、やはり戦後の木が足らんときにぶつかって、景気が良かったていうか、成功してきたような訳です。それが始まりです。今住んどる家の木は父親が植えた木です。家自体は僕が作ったんですけんど。明治21年生まれの父親が26歳の時、植えた木で、僕も手入れしたし、記念に家に使ったんですわ。3.力を入れていること一番力を入れていることは、枝打ちと優良品種の挿し木の苗木作りやね。〈枝うち〉枝打ちの一番の原点は、ええ材を作る、節ら。そんで12年くらいから5、6年ごとに、本格的に枝打ちを順番にやってくんですね。間伐は20年から25年くらいからやります。間伐は、杉が正常にひとなっていくように、え良えい木を残して悪い木を切ってやるんです。そうせんと1本1本がい大きくかいにならん。風で災害を受けたり雪害を受けたりしんようにしてやるんです。そして育てた杉を市場に出す。それが最後の収穫ですね。ええ材を採るってと、90年以上は経たんと本当の杉にはならんのです。2.父親が師匠父親が林業をやっとって始めたもんで、学校の休みとかは、山に手伝いで父親についていって習ってきたんです。それが12歳からです。林業の基本をそこで見て覚えてきたんで1.林業という仕事僕の仕事は山全部ですわ。苗木造りから植林、そして草が伸びてこれば、それを刈ってやる下刈り、木を切る伐採、山に必要なことは、全部やっております。自分の山で木を植いえて経営しとる。約45から50haほどを一人で。僕んとこは、主に杉を植えとります。杉を植えて、ひ成と長ねするるまでの流れとしては、植えて5、6年は、下刈りと雪で倒れてしまったものを起こす雪起こし。そして6、7年頃から枝打ちをやります。枝打ちの一番最初は、すそ払いという作業をやります。下から枝が出とるでしょ。それをだいたい1mくらい払ってやると、雪で倒れんようになる。下まで枝が出とると、雪が溜まって雪倒れの原因になるか造林手(枝打ち)杉を愛し続けた60年MORINOTAYORI 6