ブックタイトル森林のたより 750号 2016年03月

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概要

森林のたより 750号 2016年03月

【森の名手・名人編集担当公益社団法人岐阜県緑化推進委員会専務理事臼井征雄】※原本は長文のため、文章の一部を割愛しています。●生年月日:昭和11年7月9日生まれ●職業:林業和田光雄さんのプロフィールわだみつお12歳から父親に習って林業を始める。この道60年を越える林業の専門家。昭和48年に師匠でもあった父親が亡くなり(当時37歳)、一人で自分の山で林業を始める。カーツカッターによる枝打ちは郡上市でも、最も熟練した技術があり平成22年2月には、父親も昭和36年に受賞した「林野庁長官賞」を第55回中日造林賞優良造林地の部で受賞。優良な苗木の育成も認められている。また森林組合へ指導を行うなど、林業の発展、若手育成に努めている。趣味は将棋、スキーは1級の腕前。名人んで、研修に行って、基本なことを話しとります。林業を始める人にいうと、忍耐力がなけなできんということですね。長い年月が、かかるもんで。若い人に望むことは、自分の家に山があったんなら、少しでも林業に関心持って、木を植え、ええ木をつくるってこと。うちの父親は、山を手入れすることは山へ貯金せることじゃと言っとったんです。木をちゃんと植えとけば、あんばよう育って、今度切ったときに利益が入ってくるで。そういうつもりで自分の山のある人は、一日でも1時間でも手入れをしてってもらいたいと、僕は一番思います。自然に預けたものは絶対返ってくるんです。仕事ですから。農業は1年で回っていくから、結果が分かるんですけんど、林業は結果が分からんのですわね。3代、4代後になる。その元をつくっていくのが、我々の仕事やと思っているんですけんど。ほれには、確実な木を育ててかんと。5.林業への思い木が正常にひとなっていくことを見るのが一番楽しみですわね。僕んたぁは山に行って、木を眺めて楽しんどるようなもんです。自然のものは、手をかけてくれるほどよくなるということが楽しみですねぇ。やっぱり自然と付き合っていけるってことが一番喜びでやっとるんです。僕が、誇りに思っとるのは、僕の方が絶対いい木をつくるんだということ、杉のことに対しては僕はプロじゃと思っとるんです。ヒノキはまだ今研究中なんじゃけんど、杉のことについては、品種とか何かにつけたってプロであるということは、自信持っております。6.後継者孫は、まんだ全然関心がないねぇ。やるかやらんか僕んたぁも分からん。僕はやってほしいと思っとるけんど。僕は一代分を、僕の範囲だけをやってけば、あとはやってくれんでも、仕方がないと思っとる。そんなこと子供に押しつけれんから。ええと思や真似するじゃと思うで、やっぱり生活が安定してできるような基礎をつくることが、僕としては、一番大事やと思っとるんです。林業の魅力ってものをつくってかんと。弟子とかは、まぁみんな見て覚えていってもらえた人が、そうじゃと思っとるも4.先祖が残してくれた木僕は先祖が植えた木を切って生活してきとるもんで、植えることも切ることもせんならんのです。それが生活してく基準なんですよ。そして、前の世代の人らが植えた木をもらってやってきとるもんで、今度は次の世代の分を植えていく。植える人がないと、100年の杉の木もできんのですわ。林業は結局、年月がかかるってことが、長所でもあり短所でもある。でもそんだけ経たんことには、利益にならんのです。絶対にそんだけの期間がないとええ木ができんのです。それが強みですわね。それを行うってことは、人が木を大事にして自然を愛する。一番大事なことなんです。それこそが、みんなが言ってみえる環境とか資源の元になっていくもんで、それが一番大事やと思う。そして、70歳も越えてから、木を植える馬鹿がおるって思われたって、僕は馬鹿でないと思う。これが僕のなやつでも、枝をとってきて挿せば育つけんど、120年でも300年でも生きれる木と、そんに生きれん木とあるんです。それを自分の目で見て、採ってきて、挿すんですね。長く生きて素性のええ木。その時代その時代で優良なやつを探いてにゃー作ってきとるんです。ええ木を探いて挿し枝をとってくることが一番原則やもんで。ええものを植えてこそ、ええ木ができるんですわ。ええ苗木を植えときゃ、120年経っても500年経っても、ええものがひとなってくでしょ。その代わり一番欠点は、手入れを怠るとダメになるってことですね。世代に渡って手入れしてかんと駄目なんです。挿し木は、おんなじ品種でみな一緒にひとなるから、間伐してやって、あいい具合にんばようしてやらんと、一人前のものはできんのです。僕は、それがどんな品種の杉やって葉と杉の皮を見れば、一目で見分けるんですわぁ。それと一緒で杉がどんだけ大事なもんかってことを知っとるんです。枝打ちをする名人枝打ちの際利用するカーツカッターMORINOTAYORIMORINOTAYORI7