ブックタイトル森林のたより 752号 2016年05月

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概要

森林のたより 752号 2016年05月

地域の人東白川村では高齢化、人口減少、山林の荒廃、耕作放棄地の増大などさまざまな課題を抱えています。こうした課題を解決する一つの方法として始まった「東濃ヒノキの薪」づくりの取組について紹介します。東濃桧の間伐材による薪づくり東白川村は東濃桧の産地ですが、森林所有者・村民の所得向上のためには、今まで林内に捨てられていた柱などに利用されるA材以外のいわゆるB材を、お金にすることが必要です。そこで、村・村民が出資して設立した「村おこし会社株式会社ふるさと企画」の村雲副社長が、このB材を自然エネルギー資源として有効活用出来るように、新たな特産品「東濃ヒノキの薪」として製造販売する仕組みを平成22年度に構築しました。村民参加型の薪づくりでの課題具体的には、山主に自分の山を間伐しながら薪を出荷してもらい、その薪を、ホームセンターへ卸すという流れとしましたが、取引先が求める規格・数量・納期などの納入条件と、生産者の対応との間には大きな隔たりがありました。さらには、採算面では、取扱量が増すごとに管理手間とコストが嵩み、会社経営及び社員に負担が掛かる状況となりました。課題解決のポイントは生産者の取りまとめこういった状況の中で、森林組合の参事を退職した安江さんが、生産者の取りまとめを買って出ました。もともと森林組合在職中、薪ストーブがブームだった頃にヒノキの薪の販売を試みましたが、当時の利用者は広葉樹薪に対するこだわりが強く、断念したことがありました。安江さんは、会社の中で生産管理、在庫管理、材料調達を担当することとなり、生産者から薪を買い取り販売元へ販売する仲介業者の役割を担う事となりました。安江さんが最初に取り組んだのは生産者の確保です。かつて第一線で活躍していた森林技術者である山主に勧誘を始めました。結果、20名ほどの生産者を確保することが出来ました。次に、生産量の安定的な確保のため、地元森林組合の協力を取り付け、間伐事業で生産される間伐材のB材を購入し、これを生産者の軒先まで配達してもらい、生産者に薪に加工してもらうようにしました。需要先の確保生産体制が整う一方、確実な需要先の確保が急務となりました。村雲副社長のホームセンター各社への、ヒノキ薪の利点である火付きの良さを強調した情熱的な営業活動の結果、キャンプなどでの焚付用としての需要が広がり、東海及び北陸全域並びに関西・関東の一部のホームセンターへ卸す体制が整いました。今後の展望こうして薪生産体制がある程度確立されたわけですが、ここで原点に立ち戻って、大量生産への方向に向かうのではなく、「地域の資源を活用し、多くの地域の人を巻き込む」仕組みとすることが重要となってきます。安定的な生産者の確保の面では、平成26年に、薪の生産者で構成した「山に生きる会」を設立して、組織的な活動を続けることで裾野を広げています。会の目的は、山及び山の恵みが生活と結びつくことを願い、森林資源の利活用の研究と実践に取り組み、村内に普及させることとしています。具体的な活動としては、パックされたマツタケの下に敷くヒノキの葉や神棚用の榊の生産や、榊やヒサカキの栽培などを行っています。こうした「山に生きる会」の活動で村が元気になり、地域の皆さんが益々ご活躍されますように期待しています。●詳しい内容を知りたい方はTEL0574ー25ー3111内線(421)可茂農林事務所まで【可茂農林事務所林業普及指導員小島徳文】山に生きる会事務局長安江章吉さん地域の人が参加する間伐材薪づくりによる村おこし村の至る所でみかけられます「東濃ヒノキの薪」づくり出来上がった薪をバックにして「ヒノキの葉」の生産MORINOTAYORIMORINOTAYORI11