ブックタイトル森林のたより 752号 2016年05月

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概要

森林のたより 752号 2016年05月

シカかも知れないし、カモシカかも知れない恵みの森林の住人たちもり25寄付研究部門教員・特任助教森元萌弥岐阜大学応用生物科学部附属野生動物管理学研究センター岐阜県の植林地において幼木の食害を起こす大型の獣類は、「ニホンカモシカ(以下、カモシカ)」と「ニホンジカ(以下、シカ)」の2種がいます。岐阜県では多くの地域でシカとカモシカの両方が生息しており、生息地と被害が重複している地域もあります。しかし、ナワバリを持っており面積あたいによる目撃の頻度の違いです。「シカ・カモシカと人との出会いやすさ」にある違いのことです。その違いを調べるために、道路に囲まれたある林地で、目撃頻度と自動撮影カメラの撮影回数を比較する簡単な調査を行いました。調査は2015年2月に実施し、目撃頻度は4回の踏査の中での視認回数(図1、写真3:林地を歩き、シカ・カモシカを見た回数と頭数を集計)、自動撮影カメラの調りの加害量に限界があるカモシカに比べ、大きな群れを形成して高密度となるシカは、幼木へのより強い食害に加えて樹皮剥ぎも発生させ、被害がカモシカよりも甚大になる可能性があります。この2種は糞や足跡による判別が難しいため、痕跡のみを持って加害種を正確に把握することは困難です(写真1、2)。シカが地域に侵入する初期は、シカの個体数も少なく、様々な対策が比較的有効な段階なのですが、被害がそこまで大きくないこの初期段階では、どちらの獣種がそこに生息するか、どちらの獣種が被害を出しているか、姿を見るまでは確信が持てない場合があります。しかし、この「姿を見る」ことへの理解に一つの落とし穴があります。それは、シカとカモシカの行動の違写真1“何者か”の糞写真2“何者か”の足跡写真3踏査で出合ったカモシカ写真4自動撮影カメラで撮影されたシカの群れ図1踏査での視認回数図2自動撮影カメラでの撮影回数MORINOTAYORI 8