ブックタイトル森林のたより 755号 2016年08月

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概要

森林のたより 755号 2016年08月

谷止工の袖囲について治山ダム(「谷止工」という。)を施工する場合、本体よりも広めに掘削し、型枠を組んでコンクリートを打設します。型枠を外して完成ですが、隙間が残ります。この隙間は土砂で埋め戻しますが、谷止工の両サイド(「袖部」という。)は傾斜があるため、埋め戻しただけでは土砂が流出し谷止の機能低下につながります。袖囲とは、この土砂の流出を防止するために施工するもので、岐阜県ではブロック積工を通常施工しています。ブロック積袖囲の問題点谷止工は、山の傾斜が急で谷幅が狭い場所で施工することも多く、ブロック積工に使用する資材(ブロック、砕石、コンクリート等)の運搬や作業ヤードの確保に苦慮する場合があります。今回、揖斐川町(旧久瀬村)の施工現場ではブロック積工の資材運搬が困難であったため、高密度ポリエチレン材(以下「ポリエチレン材」という。)を用いて袖囲を施工しました。ポリエチレン材擁壁とはポリエチレン材擁壁とは、高密度ポリエチレンを素材としたハニカム構造の型の中に土砂や砕石を詰め、階段状に積み重ね、壁体を構築する工法です(図1)。現地発生土が礫質土等で締固めが十分できる土は中詰材に使用できますが、粘性土等で締固めができない土の場合は購入した砕石や土砂で施工することになります。ブロック積工とポリエチレン材擁壁との比較ブロック積工とポリエチレン材擁壁の施工経費の比較を行いました。二つの工法を単純に面積当りで比較するとポリエチレン材擁壁のほうが高価となります。しかし、中詰材に現地発生土が利用でき、小型不整地運搬車で資材運搬を行うと仮定し、運搬費も含めて計算すると、約80メートル以上の運搬距離の場合、ポリエチレン材擁壁がブロック積工よりも安価となりました。購入砕石を中詰材に使用した場合は、小型不整地運搬車での資材運搬が300メートルでもポリエチレン材擁壁が高価となりました。ポリエチレン材擁壁のメリットとデメリット【メリット】1資材が軽量であるため運搬が容易で加工もしやすい2中詰材に現地発生土が利用可能な場合は残土処理量を縮減できる3コンクリートを使用しないため養生期間が不要であり、施工期間が短縮できる4自然緑化が期待できる5地山の状況に合わせながら、勾配を設定できる(安定計算が必要)【デメリット】1一段の高さが低いためブロック積より手間が増加する2現地の土質によっては、ブロック積より高価となる3流水の状況によっては擁壁が損傷する可能性がある岐阜県は地形が急峻で袖囲工法のブロック積工の施工が困難な現場が多くあります。今後も現場に応じ最適な施工方法を検討していきます。通常の袖囲(ブロック工)検討を行った袖囲(高密度ポリエチレン擁壁)図1:施工イメージ●詳しい内容を知りたい方はTEL0585ー23ー1111内線(445)揖斐農林事務所まで治山・林道研究課題治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究を行っています。今年2月に行われた発表会(本誌752号16?17ページ)で発表された研究課題を紹介します。揖斐農林事務所林業課白井康二?高密度ポリエチレン材を用いた袖囲工法?そでかこい展開設置ハニカム構造MORINOTAYORI 12