ブックタイトル森林のたより 755号 2016年08月

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概要

森林のたより 755号 2016年08月

●詳しい内容を知りたい方はTEL0577ー33ー1111内線(492)飛騨農林事務所林業課まで天然林の2カ所で実施しました。ワークショップの内容は、育成天然林施業箇所の検証と育成木施業モデル団地の設置のための選木で、研修対象者として、林業事業体を想定したものでした。現在、モデル団地の設置について検討中ですが、設置できれば、受講者による選木を行い、関係者で検討後、実際に施業を行い、来年の研修会で検証したいと思っています。三飛騨市ワークショップ飛騨市森林組合は、平成二四年から「近自然森づくり」について学習してきました。また、飛騨市では、「広葉樹のまち」として、多様な恩恵をもたらしてくれる広葉樹の森を活用した街づくりが、各方面との連携・協働のもと進められています。このため今回は、川上から川下までの幅広い関係者により「近自然森づくり」について、ワークショップを開催しました。ワークショップの内容は、森に対する知識がない方の参加を考慮して、森林教育を含め、森の観察方法や森の利用に対する考え方が中心になりました。今後、「近自然森づくり」の検証と、研修の実施一実施主体と活用事業今回の研修で活用した事業は、次のとおりです。《高山市》広葉樹育成研修を昨年度から市単独予算で三カ年間実施することとしています。《飛騨市森林組合》飛騨市からの補助金(実質自己負担なし)で実施しました。なお、飛騨市はふるさと創生関連事業を活用しており、担当は企画課になります。《飛騨高山高等学校》担い手対策として、農林高校生林業就業促進事業を活用し、飛騨高山高等学校環境科学科の生徒を対象に実施しました。二高山市ワークショップ高山市は、地場産業である家具製造への原木供給を念頭に、昨年度から広葉樹の森づくりを進めています。研修目的が、広葉樹施業の技術者養成ということで、飛騨高山森林組合にも参画してもらいました。森林組合から提案のあった、平成二年頃から二、三回、育成天然林施業(除間伐)を実施した市有林と、施業を実施していないだれでも学ぶことができるようモデル林の設置を行います。四高校生ワークショップ高校生のワークショップでは、三年生が中心となって学習してきたことを基に施業提案を行いました。今回は、演習林の中で施業が殆ど行われていないヒノキ人工林を針広混交林へ誘導することがテーマでした。広葉樹施業の難しさ広葉樹林の育成木施業の考え方は、ある程度理解できるものの、スギ・ヒノキ人工林とは比較できないほど施業の難しさがあります。一言でまとめると、広葉樹について何も知らないという事実です。知らなければならない対象樹種が多いこと、樹種ごとの用途と原木価格、成育適地や陰性・陽性樹等の成育特性などがあり、リストアップが必要です。一番問題なのは、現地で樹種の特定(同定)ができるかということです。今後のフォローアップ育成木施業のモデル林設置に伴う「育成木」と「ライバル木」の選木と「サポーターの木」、「下僕の木」の関係性についての評価検証を行い、施業を実施した上で問題点、疑問点の抽出を行い、次回のワークショップに備える予定です。講師紹介○ロルフ・シュトリッカー氏(スイス・フォレスター)チューリッヒ州の2つの村の森林管理を担当する村の公務員。フォレスターの仕事は、経営計画の立案から選木、所有者との交渉、作業員と機械の発注、製材所との交渉・売却と多岐にわたる。木材価格が低迷を続ける現在も彼の担当区は黒字経営を続け、地域住民の厚い信頼を得ている。林業にいち早くエコロジーの思想を持ち込み、環境貢献と林業経営の両立に二十年以上にわたり取り組んでおり、フォレスター仲間は彼を「グリーン・フォレスター」と呼んでいる。○山脇正俊氏(スイス近自然学研究所代表)スイス連邦チューリッヒ州に三七年在住。北海道工業大学客員教授、スイス連邦工科大学・チューリッヒ州立総合大学講師、近自然森づくり研究会特別顧問、環境・オーディオコンサルティング。スイスとドイツで一九七〇年代に始まった環境と人間の豊かさの両立を追求する「近自然川づくり」の思想を体系化した「近自然学」を確立。近自然学は川づくりのほか、道づくり、まちづくり、エネルギー利用、農業、林業、教育、ビジネス、社会システムなどの分野にも応用されている。二〇一〇年にはシュトリッカー氏とともに「近自然森づくり」の考え方を日本に紹介し、その普及を進めている。MORINOTAYORIMORINOTAYORI15