ブックタイトル森林のたより 758号 2016年11月

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概要

森林のたより 758号 2016年11月

活かす知恵とを森林人47●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525森林文化アカデミーまで本物のフォレスターは複眼で森を見る?アラブもうらやむ天然資源?岐阜県立森林文化アカデミー准教授●萩原・ナバ・裕作●眠れる資源…??岐阜県にアラブの石油王がうらやむほどの天然資源が眠っているのをご存知ですか?その資源とは…県の8割を占める森林と、そこで培われた森林文化のこと。なぁんだ?と思うかもしれませんが、私たちはこの資源を本当に活かせているのでしょうか?森林には二酸化炭素の固定、生物多様性の保全、災害防止、水源かん養、景観保全など、換算すれば木材生産の価格を遥かに超える価値があります。しかし我々はそのうちのごく一部の価値しか見えていないようです。そうした中、今私が注目しているのが、「森のようちえん」をはじめとした「空間」としての活用です。●プライスレスな森林空間「何もないけど、全てある」これが森林空間の特徴です。何もないように見えますが、頭と想像力、手足を使えば、暮らしや遊びに必要なものが揃います。そして今多くの人(特に都市部)がこの「何もなさ」に魅了されているのも事実です。「森のようちえん」がブームなのもうなずけます。森の中には幼児期に必要なリアルな刺激があふれていること、自分で考え創造する自由があること、そしてそれらが人工的な遊具やおもちゃ・教材や空間よりも遥かに優れていることに、現代人が本能的に気づき始めたのでしょう。森林空間というゆりかごの中で、子どもたちはホンモノに触れ、考え、行動し、生きる力を育みます。人間の成長の空間として森林ほど理想的な環境は他にないでしょう。県内に空間と森の知恵を活かした「森の小学校・森の中学校」ができる日もそう遠くはないはずです。●森林空間活用は林業です子どもだけではありません。森ヨガ、森のリトリート(※)、森の老人ホーム、森の病院、森の研修所など森には全ての年齢層とバックグラウンドにフィットすいました。さらにドイツには、プロや一般市民が森に関する幅広い体験や知識・技術を学び、国民の人生と森とをつなげる「森の総合教育センター」がありました。林業を支える強固な地盤(国民意識)がここで築かれているのです。日本もマネしたいものです。●先進国オーストラリア森林空間の活用をする上で忘れてはならないことを環境教育先進国オーストラリアが実践しています。世界で初めて幼児教育の指導要領に「持続可能教育」を導入したのです。森林空間での過度な施設整備は避け、子どもも大人も持続可能な暮らしのためにどう行動すべきかを一緒に考えます。子どもたちに将来、社会人として責任を持って行動してもらうための「種まき教育」です。日本も森林空間を複眼でとらえ、「種まき教育」に力を入れることが出来れば、世界に誇る持続可能な森づくりができることでしょう。森林文化の中に眠る持続可能性の知恵が目を覚ます時です。(※)リトリートとは,ストレスの多い日常生活から離れ、ゆっくりと自分自身を見つめ直す場所。る「何か」があります。更にそれらはビジネスとしての可能性も秘めているのです。材として売ると安い一本の木も、2泊3日の森林文化体験に使えば、参加費ひとり3万円のプログラムに変身させることも可能です。モノ(木材)を売るのではなくモノと空間と体験をストーリーでつなげるのです。森林空間利用は立派な林業なのです。●ドイツのフォレスターこのように、森を一つの目(木材生産)で見るのではなく、昆虫の複眼のように無数の目(視点)で見てその情報を一つの像(ストーリー)につなげていける感覚が大切です。ドイツで会ったフォレスターがまさにそうでした。木材生産管理はもちろん、「森のようちえん」からエコツーリズムまで、森林空間を活用した活動を展開し、地域の森を実に多面的に活用し活性化させて「森ヨガ」も人気のプログラム森林空間で、森と人がつながる木や枝は最高の遊具MORINOTAYORI 6