ブックタイトル森林のたより 759号 2016年12月

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概要

森林のたより 759号 2016年12月

普及コーナー■揖斐農林事務所林業課林業普及指導員下野俊彦揖斐川町における皆伐・再造林低コストモデル事業の取組み揖斐川町における森づくり条例の制定平成27年10月11日に岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲地内で開催された第38回全国育樹祭を契機に、揖斐川町では「揖斐川町ふるさとの森づくり条例」を制定し、揖斐川町として積極的に森林づくりへ関わっていくことを表明しました。この条例制定を契機に、揖斐農林事務所においても、今まで以上に、揖斐川町の森林整備事業に対する積極的な支援を進めていくこととしました。その最初となる「皆伐・再造林低コストモデル事業」への取組みについて紹介します。皆伐事業地の検討揖斐川町の民有林人工林の特徴として、県全体の齢級構成のピークが10齢級となっているのに対して、2齢級低い8齢級をピークに、年々成熟してきています。また、揖斐川町における森林の所有形態は、岐阜県森林公社、木曽三川水源造成公社及び森林総合研究所が費用負担者となって森林整備を行う機関造林地の割合が約50%と非常に高くなっています。揖斐川町内では、萌芽更新など天然更新が可能な広葉樹林を除き、人工林における皆伐はほとんど行われていません。これは、皆伐に対する森林所有者の不安の現れと考えられます。今後、揖斐川町において「森林における資源の循環利用」を推進していくためには、森林所有者に対して皆伐・再造林への働きかけを行っていく必要があり、皆伐に対する不安の払拭が重要となります。このような中で、「資源の循環利用」をキーワードとして、揖斐川町に対して「主伐・再造林実証プロジェクト」実施に向けた働きかけを行いました。そして、平成27年11月から農林事務所Ag・揖斐川町・揖斐郡森林組合が協働し、町有林における「主伐・再造林実証プロジェクト」に向けた事業地検討が始まりました。皆伐に対する不安材料事業地検討を始めるにあたり、Ag・町林務担当者・森林組合施業プランナーが集まり、それぞれが森林所有者の立場にたって、皆伐に対する不安の洗い出しを行いました。この結果、以下のような不安材料が出てきました。皆伐時の還元額が少ない1.揖斐川町は、地形が急峻で、路網密度が低く、道幅も狭いため、搬出・運搬に経費がかかり素材生産全体のコストが高くなってしまう。2.揖斐川町の人工林は、価格の高いA材と呼ばれる製材用材の占める割合が少ないことから、得られる収入が少ない。植栽・保育に対する経費負担1.揖斐川町内はニホンジカによる立木の剥皮被害が多いことから、生息数が非常に多いと想定され、植栽木への被害が懸念される。2.植栽後の保育期間(収益を得られない期間)が長く、森林所有者の負担が多大である。還元額からみた事業地検討机上で事業地を検討するにあたり、皆伐における損益バランスを考慮して、「搬出・運搬等の素材生産コストを抑えるための基幹道があること」、「収入を見込むための材積が多い事業地であること」の二点に注目して、『久図-1揖斐川町における民有林人工林面積0 1齢級2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 211,0002,0003,0004,000民有林人工林面積面積(ha)揖斐川町林内路網密度区分路網密度(m/ha)9.214.5揖斐川町岐阜県MORINOTAYORI 16