ブックタイトル森林のたより 759号 2016年12月

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概要

森林のたより 759号 2016年12月

【森の名手・名人編集担当公益社団法人岐阜県緑化推進委員会専務理事黒﨑隆司】※原本は長文のため、文章の一部を割愛しています。●生年月日:昭和6年2月18日生まれ●職業:原木椎茸栽培山田多賀男さんのプロフィールやまだたかお昭和28年から椎茸栽培を本格的に始め、これまでに外山村椎茸生産組合長、岐阜県食用種菌製造業者組合長、岐阜県林業グループ連絡協議会長などを務める。長年にわたり、原木椎茸栽培技術の普及や、地域の小学生への森林環境教育に尽力し、地域指導者としての人望も厚い。全国農村青少年教育振興会青少年先進地留学研修生受入感謝状、岐阜県林材振興岐阜県知事表彰、飛騨・美濃特用林産名人岐阜県知事認定などを受賞している。名人で40年くらい続いとるんやよ。9.椎茸栽培での喜びやっぱり見事に発生したときはな、何よりもうれしいな。手をかけりゃかけただけのことはやっぱり椎茸が応えてくれるということでね。直販所へ出すとお客さんに「やっぱり多賀男さんの所の椎茸やなけないかん」と言ってもらえる。わしが「どこの椎茸やったって同じやないの?」って言っても「やっぱり違う」って言っては買ってくれるん。今でも現役で椎茸やれるやろ、それがやっぱりよかったな。まあ今やでそんなこと言えるんやけどもな、なかなかそら苦しいときもあったしな。ほして、今でも大体ひと月のうち20日くらいはボランティアとかで出てっとるでな。せめて地域に少しでも貢献できるような、晩年はそんなことができるとええと思う。てもなんとか続けれとるけどもね。7.不時栽培大体椎茸というのは春と秋、その時期に自然に置いておくと発生するんやけども、時期でない夏場のときと、それから真冬のときに椎茸栽培するのを不時栽培というんやな。夏場は、夜と昼との温度差の変化は10度もないし、ほっといたら全くと言っていいくらい出んので、例えば常温30度のときに20度以下の水に浸けてやる。ほうすると10度以上の差ができるもんで、その刺激を受けて芽を作るということやな。冬場は温度が全体に低いもんで、今度は逆に、水に浸けて温度を上げてやるわけなん。ほすと、例えば外の気温が5度、水に浸ける水温が15度くらいやとすると、今度は逆に刺激受けて芽を出すということ。そういうことをやらんと不時栽培というのはできんということやな。8.外と山やま小学校での自然学習外山小学校ではね、わしが40歳のころにPTA会長になって、この地域の者が地域の物を知らずに育っていくということはあかんで、椎茸作りをやろかと言って。それから毎年椎茸の菌打ちを教えとるんやて。んでちょうど裏に山があるもんでそこ借りて、菌植えては子供んたあ椎茸を採って、先生んたあに売りつけてな。その収入で図書館の本を買ったりとか、そういうのをずっと続けとるんやて。PTA会長辞めてからも学校からの要請でそれからずっと子供との関わりを持ってきとるんや。外山小学校で椎茸の菌打ちはそんなふう打撲ははびこった菌糸を刺激によって切るんやな。そうすると次の子孫を残すために椎茸になって出るというの。普通は井桁に積んどるやつをコンテナに積むとき自然に打撲の刺激を受けるんやけども、今ホダラックで栽培しとると移動させるときには刺激がないもんで叩いとるん。まあ生き物本来の特性を人間が上手く利用しとるということやな。6.ホダラック前は全部1本1本手で原木運んで立てかけとってな、大変な仕事やったん。大体1杯130?140本あって、1日に2杯立てかけると足が痛いとうなってまって。こんなことやっとってはあかんなと思っとったら、そのときたまたま四日市で椎茸やっとる人がホダラックをよかったら引き受けてくれって言ったんで、今こういうふうにしたん。これやと1本1本なぶらんでもすむもんで、立てかける労力も10分の1くらいですむな。こういうふうにしてからもう20年くらいになるかな。ほんで今80歳になっの人がな。高う売れるんよ。それからこれを重点にしてやってきたんやな。4.伏せこみ伏せこみというのは、植菌してから発生させるまでに培養させること。椎茸菌という目に見えんものを相手にするもんで、順調よういっとるのかどうかなかなか判断もできんもんで難しいんやて。絶対にこういうふうにやったら椎茸菌がまわって発生できるんやという自信持てるまでにはね、やっぱり相当の年月がかかるな。5.浸水打撲昔から椎茸出すために浸水打撲ってって椎茸の原木を木づちで叩いたり水に浸けたりするん。浸水は大体一昼夜めどにして、夏の栽培やと水に浸けてから大体1週間くらいで収穫できるんやわ。特に夏場は浸水作業をやらんと芽が出てこんな。これをやると、常温と水温との温度差と、椎茸の呼吸を止めることによっての刺激を与えることができるんやな。自然の場合には夜と昼との温度差ができたり雨が降ることによって刺激受けるんやけども、そういう自然の環境を人間が与えてやるということやね。原木を運んでいる写真浸水槽で浸水させた後、取り出すときの様子MORINOTAYORI7