ブックタイトル森林のたより 759号 2016年12月

ページ
9/22

このページは 森林のたより 759号 2016年12月 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

森林のたより 759号 2016年12月

きくなります。調査の結果、県内には、主に県中央部に加害レベルの高い群れが、密集していることがわかりました(図2)。餌場があり、安全な場所では、ニホンザルが生活しやすく、餌場と安全な場所がある限り、今出没している群れをいくら捕獲したとしても、すぐに周辺から他の群れがその集落に侵入してきます。つまり、捕獲だけを進めても、ニホンザル被害はなかなか減らないということです。今回の調査で明らかになった各群れの加害レベルは、ニホンザルの出没する集落の住民の対応で変化します。群れが集落に出ても、住民が何もしないで見ているだけであるとか、集落内のニホンザルの餌場となる場所を放置すれば加害レベルは上がります。そこで、加害レベルを下げるためには、ニホンザル対策チェックリストで住民各自が行っている対策や集落ぐるみで行っている対策が適当であるかチェックすることが必要です(岐阜県ニホンザル地域被害対策指針8ページを参照)。チェックリストは集落の被害対策達成度を確認する表で、大項目に「体制」「ほ場とほ場周辺の環境改善」「被害防止施設の設置について」「追い払い」があり、それぞれに細かい取り組み項目が記載されています。項目ごとの達成度を上げれば上げるほど、ニホンザルにとって魅力のない集落となり、加害レベルを下げ被害を減らすことができます。チェックリストの達成度を上げるには、住民が総出で自分たちの集落を巡回し、獣害防護柵の設置状況、ニホンザルの侵入個所や餌場になる果樹、田畑を確認し、その結果を集落の地図に書き入れて(写真2)、改善策を検討する集落環境点検が必要です。集落の被害対策の目標を捕獲頭数にするのではなく、被害対策の達成度を目標にし、住民自身が、集落ぐるみで被害対策の達成度を確認、向上を目指さないと、その集落のニホンザル被害はいつまでも減らないでしょう。ニホンザルは、山中に居れば、イノシシの様に土手を壊したり、シカの様に植林した苗木を食べたりしない、愛嬌のある森の住人です。里は、ニホンザルにとって怖いところ、食べるものはない所だということを学習させ、人との棲み分けを図りましょう。なお、ニホンザル被害対策指針の詳しい内容は、岐阜県HPトップ>くらし・防災・環境>環境>自然保護>ニホンザル被害対策指針(http://www.pref.gifu.lg.jp/kurashi/kankyo/shizenhogo/c11265/nihonzaru.html)をご覧下さい。図2群れ推定加害レベル分布図(2015年度24市町村ニホンザル出没カレンダー調査)点線枠はデータが不十分な個体群写真2集落地図を使って、集落点検および対策の検討を行っている様子MORINOTAYORI9