ブックタイトル森林のたより 761号 2017年02月

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概要

森林のたより 761号 2017年02月

●詳しい内容を知りたい方はTEL050ー3160ー6090岐阜森林管理署まで国有林の現場から地域と連携した効率的な獣害対策の実行について5岐阜森林管理署総括地域林政調整官松嶋克彰岐阜森林管理署では、平成25年度以降七宗町や金華山等において獣害対策を進めてきました。今年度、新たに下呂市内で地域と連携した効率的な獣害対策の実行を目指した取組を始めましたので、その内容を紹介します。七宗町と揖斐川町におけるニホンジカ対策平成25年度以降ニホンジカの生息域が急速に拡大した七宗町と揖斐川町において、地元と協力して獣害対策を行っています。七宗町では七宗町鳥獣害防止対策協議会と連携し、地元猟友会への捕獲委託やワナの貸し出し及び生息調査として岐阜大学や七宗町と合同でライトセンサスを実施しています。揖斐川町では臨時職員による個体数調整や積雪地における防鹿柵の実証試験等を行っています。金華山におけるイノシシ対策平成27年度に設置された岐阜市金華山一帯のイノシシ被害対策協議会と連携し、センサーカメラによる生息調査や猟友会への捕獲委託を実施し、今年度は金華山山頂周辺で12頭(平成28年12月現在)のイノシシを捕獲しています。下呂市におけるニホンジカ対策1下呂市の現状と課題下呂市の森林面積は78千haで、その内の30%の23千haを国有林等が占めています。下呂市が平成26年度に行ったライトセンサスでは、市内全域で1,2 10頭のニホンジカが確認され、そのうち金山地区が540頭、馬瀬地区が278頭、下呂地区が174頭となっています。調査を開始した平成22年度の確認頭数388頭と比較すると、約3倍に増加しています。農業被害額は平成26年度の1千万円をピークに平成27年度は558万円に減少しています。これは防護柵等の設置が進んだことにより被害が減少したものと思われます。森林では目立った被害は発生していませんが、国有林内で新植したスギやヒノキの苗木が食害される被害が発生したり、今まで見たことがなかった場所でのニホンジカの目撃情報も多く寄せられるようになりました。2下呂市内における取組内容ニホンジカ対策は被害が出てからでは遅く、早めの対応が重要です。そこで、これまで対策を行っていなかった下呂市内の国有林で地域と連携した新たな取組を始めました。(1)地域との連携下呂市の鳥獣被害対策担当者との調整のもと、国有林における獣害対策や目撃情報等を地域の対策に活用するため、下呂市鳥獣害防止総合対策協議会に参加しました。また、ニホンジカの生息数拡大を抑制するため、くくりワナの貸し出しを推進し、獣害被害の大きい下呂市や周辺の七宗町、郡上市等へ150基のワナの貸し出しを行いました。(2)職員の意識改革と体制整備森林管理署職員の危機感の醸成を行うため、全職員を対象にニホンジカの被害・目撃情報の収集の仕組みをつくるとともに、職員によるライトセンサスを馬瀬地区の国有林で開始しました。この取組は生息状況を確認するとともに、今後の効率的な個体数調整に役立てるためのデータの集積を目的としています。また、獣害対策について職員の知識と関心を高めるため、通達に基づく鳥獣保護及び狩猟に関する講習会を開催しました。職員がこの講習を受講することにより、国有林内で狩猟免許がなくても有害鳥獣捕獲が可能となります。この講習は岐阜県では初めての取組で、県内の森林管理署職員60名が参加しました。午前は県の自然環境保全課の職員から法令関係の講義を受け、午後は下呂市猟友会の講師によるくくりワナ設置に関する講義と実技指導を受けました。(3)職員による捕獲の実施講習会を受講したことにより、下呂市と七宗町の国有林でくくりワナによる職員捕獲を実施しました。11月から開始した七宗町では成果は出ていませんが、下呂市の国有林では7月から12月末までに11頭を捕獲しました。御嶽山にセンサーカメラを設置当署では、平成27年度から御嶽山高山帯から亜高山帯にかけてセンサーカメラ5台を設置してニホンジカの生息調査を行っています。平成27年度にはニホンジカは確認されませんでしたが、平成28年10月に標高1,8 80mの仙人橋付近で初めて確認しました。このまま何もしなければ、ニホンジカは御嶽山頂付近まで侵入し、高山植物の壊滅的な被害が予想されます。個体数密度の低い現時点での対策はなかなか成果が上がりませんが、国有林としては被害が目立たない今の段階から地域と連携して、より効率的な対策に取り組んでいきたいと考えています。▲くくりワナの実技講習の様子▲仙人橋付近(標高1,880m)で確認したニホンジカ(H28.10.3)▲職員によるくくりワナの設置MORINOTAYORI15