ブックタイトル森林のたより 761号 2017年02月

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概要

森林のたより 761号 2017年02月

飛来種子飛来種子が容易に定着(平場構造)飛来種子が発芽・生育埋土種子・根系埋土種子や根系が発芽・生育高い法面の保護能力はじめに国立公園内で発生した火山性堆積物を主体とした山腹斜面崩壊地での復旧対策について報告します。平成26年6月、高山市奥飛騨温泉郷平湯地内の温泉施設「神の湯」の対岸山腹斜面が幅約60m、長さ約170mにわたって崩壊しました。下流域には多くの観光客が訪れる平湯温泉街があり、山腹対岸にある温泉施設「神の湯」では安全が確保できていないことから、崩壊以来、営業を休止しています。未だ山腹には多くの不安定土砂が堆積し、さらなる災害の発生が危惧され、温泉街の住民はもとより、訪れる観光客からも早期復旧が望まれる箇所です。復旧計画について不安定土砂の流出防止と斜面の安定化を目的とした施設計画としました。植生回復については、中部山岳国立公園内であることにも配慮し、周囲の広葉樹から飛来する種子を活着させる伏工により緑化を図る計画としました。【崩壊地上部】崩壊した斜面及び潜在すべりの安定化対策として、頭部のり切工により、地すべりの活動を抑制させる工法としました。地質調査の結果から、すべりに対する安定計算により土塊が安定する排土ライン(標高1533m)を決定し、すべり面に沿ったのり切を安定勾配で行うとともに、自然侵入促進型植生マットによる緑化計画としました。【崩壊地中央部】新たな表層崩壊を抑止する斜面対策としました。工法の決定にあたっては、斜面長が長く安定勾配に切り直すことは困難であり、地質調査の結果から、想定される表層崩壊深が2?3m程度であることを踏まえ、施工性、経済性、景観等を考慮し、地山補強土工(高強度ネット斜面安定工)の計画としました。【崩壊地下部】堆積土砂の固定と斜面勾配の修正を目的とした対策とし、直下の保全対象に近接していること、背面に堆積土砂があり、土圧に耐えられる構造が要求されることから、コンクリート土留工を計画しました。また、降雨等による上部からの表流水を分散流下させるために水路工及び筋工も計画しました。進捗状況について復旧工事は、平成26年6月の崩壊以降、緊急対応を経て、平成27年度から本格的に復旧工事に着手しました。平成27、28年度は、崩壊地上部の潜在すべり面を高所斜面掘削機により安定勾配でのり切工を行い、自然侵入促進型植生マットも施工しました。平成29年度は、斜面中央部の表層崩壊を抑止するため、補強土工(高強度ネット斜面安定工、鉄筋挿入工)による法面対策を予定しています。今後について毎年、平湯地区の地元住民に対して説明会を行いながら工事を進めていますが、一日も早い「神の湯」の営業再開を望む意見があります。今後も引き続き、早期完成に向け工事を進めて行きたいと思います。●詳しい内容を知りたい方はTEL0577ー33ー1111内線(488)飛騨農林事務所まで治山・林道研究課題治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究を行っています。昨年2月に行われた発表会(本誌752号16?17ページ)で発表された研究課題を紹介します。飛騨農林事務所森林保全課加藤雅之?湯ノ平地内山腹崩壊における復旧工事について?自然侵入促進型植生マット工クモ用プレート移動土塊不動地山すべり力補強材想定すべり面植生材高強度ネット高強度ネット抵抗力高強度ネット斜面安定工(クモの巣ネット工法)MORINOTAYORI 16