ブックタイトル森林のたより 764号 2017年05月

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概要

森林のたより 764号 2017年05月

活かす知恵とを森林人53●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525森林文化アカデミーまで木材を使うことが、温暖化対策になる?岐阜県立森林文化アカデミー准教授●吉野安里●はじめに森林文化アカデミーのホームページに、教員がエッセイを書いています。私は一般の方に話していることを書きました。ここに紹介します。●もっと光を!もっと高く!光合成は、植物が進化の中で獲得した「ソーラーシステム(太陽光を利用した機構)」です。私には、樹木の葉が「究極の太陽光パネル」に見えます。古くなった葉は、自然に更新され、数まで増えています。人間の発明した「太陽電池」は、いつの間にか新しくなったり、数が増えるなんてことはありませんね。光合成こそ、人間の知恵が及ばない「最先端科学」であると感じています。太陽光を使い、水と二酸化炭素を原料に、その産物である木材は、私たちの生活を心豊かにしてくれます。光合成のために、太陽光が必要です。より多くの太陽光を得るためには、より高く伸び、より多くの葉を広げる必要があります。そうなると、樹体には十分な強度が必要です。木(木本,もくほん)は、茎(幹)の部分が毎年成長を繰り返す一方で、自ら生命を閉じて樹体を支えています。この点が草(草本、そうほん)と大きく異なります。●木材とは・・・えっ死骸なの?木本では、樹皮内側の形成層で細胞が分裂し、幹が太ります。形成層の内側(木部)では、3月ころから細胞が分裂を始れ以上増やさないことが、温暖化対策の宿題となっています。省エネルギー技術で炭酸ガスの増え方を低くできても、吸収できるのは成長の盛んな若い森林です。では、もっと木を植えたらいいのでは・・・。しかし、今の日本には、森林を伐採しなければ植える場所はありません。そこで、木材を使うことに注目です。在来工法の木造住宅一〇戸分で、スギ人工林(五〇年生)一ヘクタール(一〇〇m四方)分の立木蓄積量(約三一五立米)に相当します。さらに住宅の寿命を約三〇年とすれば、その間は木材の形で炭素を保持し続け、炭酸ガスとして放出させないことになります。伐採する→住宅に使う→住宅は炭素貯蔵源になる→伐採後に植える→育てる→新たな炭酸ガス(炭素)吸収源になる・・・というサイクルを作りたいですね。「植える」「育てる」までは社会的な関心も高い。一歩すすんで、木材として「使う」「輸出」までも視野に入れてほしい。木材利用の環境への貢献を評価されれば、林業の社会的、経済的地位の向上のきっかけにもなります。木材利用があって林業が成り立ちます。森林の機能も維持できます。木材の最大の用途は住宅です。森林文化アカデミーでは、木造建築を担う人材を育てています。めます。この部分が早材(そうざい、春材)です。7~8月になると、強度に耐えるような構造へと細胞が変化します。細胞の分裂は衰えて秋には止まります。この部分が晩材(ばんざい、夏材、秋材)です。早材と晩材とでその年の年輪です。丸太断面の外側の白っぽい色の部分で、辺材(へんざい)といい、ほとんどが死んでしまいます。数年間かけて、腐りにくい物質や樹種特有の色や香りの成分が蓄積され、完全に生命活動を閉じます。丸太断面の内側の色の濃い部分で、心材(しんざい)といいます。心材と辺材の部分(木部)を木材として利用しています。一方、形成層の外側(師部)へ分裂した細胞は、生命を閉じ樹皮となり、乾燥から内部を保護します。樹皮は防水能力が極めて高く、樹皮付きの丸太は、何年経っても乾きません。●木材を使うことが、温暖化対策になる?空気中の二酸化炭素(炭酸ガス)をこMORINOTAYORI9