ブックタイトル森林のたより 766号 2017年07月

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概要

森林のたより 766号 2017年07月

はじめに平成16年度に各務原市各務東町で自然環境保全治山事業を実施しました。事業実施より12年が経過した現在の状況を報告します。※自然環境保全治山事業とは、自然環境の優れた地域において、森林の持つ自然環境保全機能の高度発揮を図るため、森林整備等を実施する事業のこと事業の特徴当事業では、本数調整伐を実施した下流200m程の箇所で谷止工を施工しました。谷止工の型枠に現地発生木材(283m)を有効利用しました。従来、間伐材を谷止工の型枠に利用する場合は、間伐材を工場で加工、製品化してから利用していました。この場合は、木材の加工にかかる費用の他に、木材の運搬費が必要でした。本事業では、谷止工施工箇所の上流部で本数調整伐を行い、現地発生材を現地加工し用いたため、従来の方法に比べて費用を削減することが出来ました。さらに、本数調整伐で発生した間伐材の多くは、現地に残置されることが多く、流木災害の発生が懸念されています。発生材を有効利用することで災害防止の点においても効果が期待できました。【施工当時の状況】皮付きの木材を利用しているため、現地に馴染んでいます。景観として優れています。【現在の状況】(遠景)木材の色には明るい色から濃い色への変色が確認されました。遠景では、大きな損傷は確認されず、周辺の植生の回復が確認出来ました。(近景)木材の腐食が確認されました。ひび割れやかけている箇所が見受けられ、木材の繊維は表面から剥がれ落ちていました。木材が細くなっており、鉄線との間にゆるみが発生しています。(放水路付近)放水路付近では、木材のはがれが確認されました。水の流れが不規則な箇所であり、のり形状に合わせて斜めにカットされていることが原因と考えられました。(コンクリート強度)シュミットハンマーを用いてコンクリート強度を測定したところ、コンクリートの圧縮強度は22・9N/mmで強度面での安全が確認出来ました。まとめ一般的に屋外における木材の耐用年数は5年ほどですが、12年経過後も原型をとどめており、景観として優れた工法であると言えました。また、コンクリート部に異常は発生しておらず、治山施設の型枠材として問題なく使用できることが分かりました。今後本工法は、伐採木の有効利用が可能であり、流木対策にも有効であるため、採用可能な現場では積極的に採用していきたいと考えます。課題としては木材がさらに腐朽した時には、鋼製枠や鉄線の撤去が必要になるのか、外観はどうなるのかという課題があり、施設点検等により経過を観察していきます。●詳しい内容を知りたい方はTEL058ー214ー7406岐阜農林事務所まで治山・林道研究課題治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究を行っています。今年2月に行われた発表会(本誌763号18?19ページ)で発表された研究課題を紹介します。岐阜農林事務所林業課村井弘人?現地発生木材を活用した治山ダム型枠の経年変化?2MORINOTAYORI17 MORINOTAYORI