ブックタイトル森林のたより 766号 2017年07月

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概要

森林のたより 766号 2017年07月

目指すべき社会の姿は何処に?活かす知恵とを森林人55●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで岐阜県立森林文化アカデミー教授●原島幹典●森林文化アカデミーの人材育成本学にも、卒業後に地域おこし協力隊員として、地域社会で頑張っている人達がいます。農山村移住を希望する彼らの事情や思いは様々ですが、共通しているのは価値観の転換をはかっていることでしょう。「お金や物では得られない心の安らぎや満足感を大切にする」「もっと自分らしく生きてゆきたい」そんな考えの若者が都市部には少しずつ増えているように見えます。本学では、過疎地域への移住や、農山村起業を支援するための専門カリキュラムはありませんが、選択科目から選ぶことによって幅広く学ぶことが可能です。まずは生業とする分野の知識、技術を身に付け、社会的に対価を得られるようになることが第一ですが、それだけではなく自分らしく生きてゆくための学びの機会もきっと見いだせるはずです。様々な学びを実践する中で、地域社会の課題や可能性が現実味をもって見えてくるのです。位の集落が、日本の気候風土、日本人の精神性に適合した社会のサイズでもあったのでしょう。この集落単位の暮らしが、各地で数百年間続いてきたことから、かつての山村集落は持続可能な社会モデルであったと言えるのではないでしょうか。祖先達が何世代もかかって、地域で暮らすための知恵・技・心をぎゅっと詰め込んでくれた社会です。しかし残念ながら、その貴重な社会モデルが近年の過疎高齢化により急速に崩れ始めています。地域から医療機関や小学校、商店が無くなり、祭りも、葬式も自力ではできなくなりつつあります。継承する世代の大半は地域外に移住しており、おそらく帰ることはないでしょう。親が亡くなれば地域との縁はさらに遠のきます。こういう状況が全国各地で進行しています。●農山村移住者への期待一方で、地域外から若者が移住することで、地域に活力が戻る例も生まれています。例えば地域おこし協力隊という制度があります。総務省が始めた移住定住対策ですが、年々入隊者は増加傾向にありま●伝統的社会モデル消滅の危機将来、私たちが目指すべき「持続可能な循環型社会」とは、どのような社会なのでしょうか?例えば、かつての山村集落では、エネルギー、食料はほぼ自給、排泄物は家畜を含めてすべて畑の肥料に利用。子供たちの教育はお年寄りかお寺の坊さんで、「悪事を働けば地獄に堕ちる。」「命をいただくのだから食べ物を残してはいけない」など仏教を基に倫理教育がなされていました。「結」(ユイ)の活動で屋根の葺き替え、道普請をし、村の共有山の木を切って学校や診療所を作ったり、若者は百姓か職人となり、村で一生暮らすことが幸せであった時代でした。おそらく大字、小字単す。(表1)彼らの存在はあらゆる点で時代を象徴しています。企業の第一線で活躍され、便利で豊かな生活を送っていたにも関わらず、それを投げ捨て、自然環境や人間関係が豊かな田舎に住みたいと考える若者も多くいます。任期終了後の定着率で評価される傾向がありますが、むしろ、地域滞在中にどのような活動をして地域を元気づけたのか、後に何を残したのか、そして次は何をしたいのか?そういう視点で彼らを応援し、持続可能な社会モデルが消滅しないよう、事業を理解し、支援すべきではないでしょうか。平成21年度平成22年度平成23年度平成24年度平成25年度平成26年度平成27年度平成28年度隊員数89257413617978151126253978実施自治体数3190147207318444673886●全国年度別地域おこし協力隊員数(表1)(総務省HPより)MORINOTAYORI 6