ブックタイトル森林のたより 797号 2020年02月

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概要

森林のたより 797号 2020年02月

国有林の現場から40七宗町上麻生地区森林共同施業団地(ケーススタディ地区)ニホンジカ食害防除対策講習会兼現地検討会を開催しましたの大洞智宏専門研究員からニホンジカ防除の事例等について紹介をいただきました。また、屋外に出て、岐阜森林管理署と森林技術・支援センターが七宗国有林内に設置している「獣害対策展示エリア」を視察するとともに、参加者各位の日頃の取り組みなどについて、情報交換を行いました。ニホンジカ食害防除対策には決定打といえるものがないのが現状ですが、「防除」と「捕獲」、いわば守りと攻めの効果的な組み合わせによる取り組みを模索していくことが必要です。今後も、民国の関係者が知恵を出し合い、地域一体となったニホンジカ対策を着実に推進していくことが重要だと考えます。(岐阜森林管理署)この取り組みは、平成29年度から岐阜森林管理署と中部森林管理局森林技術・支援センターとの共催により毎年実施しているものですが、本年は、岐阜大学応用生物科学部から森林動物学が専門の安藤正規准教授、池田敬特任助教のお二人をお迎えして、大幅にスケールアップしての開催となりました。当日は、市町村および県の農林行政担当者28名を含む総数70名の参加を得ることができました。▲岐阜大学安藤正規准教授の講義▲民・国70名の参加と活発な質疑で熱気溢れる会場▲「獣害対策展示エリア」における情報交換安藤准教授からは、国定公園等におけるニホンジカによる食害事例が多数報告されました。『行政の(施策決定の)スピードは、シカの被害拡大のそれに追いつけない。そのため、気づいたときには手遅れということもある。』というアドバイスもあり、参加された行政担当者の方々には、“深く静かに進行”しつつあるニホンジカ被害の『危機感』を、しっかりお持ち帰りいただけたと考えています。また、池田特任助教からは、シカの生態について講義をいただきました。捕獲圧によりシカの行動が変化するデータの紹介もあり、いわゆるスレジカ(捕獲困難なシカ)をつくらないことの重要性も理解することができました。講義終了後は、岐阜県森林研究所伐採跡地や造林されたばかりの幼齢造林地などはニホンジカが集まりやすく、国有林においても、主伐・再造林を行う際には、植栽された苗木への食害防除策が必須と言っても過言ではありません。しかし、行政機関における各種施策の採択時には、その緊急性(優先順位)の高低や、費用などが厳しく吟味されます。時として『ニホンジカ対策は必要ではあるが、施策としての緊急性が乏しいし、お金もかかるので後回し』となっているのが実情だと思われます。地域の森林づくりを進めるにあたり、本当に、これで大丈夫なのでしょうか?今般、七宗町上麻生地区森林共同施業団地に設定されているケーススタディ(事例研究)地区において、県内の林業関係者等を対象とした、民国連携によるニホンジカ食害防除対策講習会兼現地検討会を開催しました。MORINOTAYORI 16