ブックタイトル森林のたより 806号 2020年11月

ページ
11/22

このページは 森林のたより 806号 2020年11月 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

森林のたより 806号 2020年11月

●詳しい内容を知りたい方はTEL0573ー26ー1111恵那農林事務所まで治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究を行っています。今年2月に行われた発表会で発表された研究課題を紹介します。?中津川市茄子川地区における防災対策向上の取り組み?恵那農林事務所森林保全課治山第一係福井雄希ています。また、工業団地や市の競技場、公園も整備されており、この地域一帯は中津川市の重要な文化、事業の拠点となっています。過去には、明治37年に大規模な土砂災害が発生し、多くの家屋が被災しました。地元に詳しい人の話によると、現在の工業団地や中央自動車道がある場所まで土砂は到達していたとのこと。こうした災害を防止すべく、昭和52年から合計で11基の谷止工を施工しました。令和2年度以降は、さらに4基の谷止工を新設する計画で事業を進めています。事前防災・減災対策前述のハード対策だけではすべての災害を防止することはできないため、ソフト対策を同時に進めることが重要です。中津川市には防災、減災を目的に活動する「中津地区災害協議会」があります。旧中津川市の25区長が理事を務める協議会で、平成28年度から治山施工地の視察を行っています。令和元年度にはこの茄子川地区の治山事業が対象となりました。視察の中では治山施工地が住宅密集地から近いこともあり、こんな身近なところで森林が荒廃し、その予防のために治山事業が行われていたことに驚きの声もあがるなど改めて治山の必要性を認識していただきました。また、山地災害発生の危険が高い事業区域内の小学生を対象に防災対策の意識向上を図るため、茄子川財団と協力し森林学習会を実施しました。完成した治山施設の見学はよく行われていますが、恵那農林事務所では施工中の状況を見学する機会を設けています。生々しい森林の荒廃や治山施設の限界を知ってもらうと共に、施工中の現場を見学することで、自分たちの命を守るための工事を行っていることを肌で感じてもらうことができました。まとめ多発化、大規模化する山地災害は行政が行うハード対策だけでは限界があります。住民の方に山地災害のリスクを知ってもらい、大雨や地震など山地災害の兆候があった場合には迷わず安全が確保できるところに避難するなど自分の命は自分で守ること(自助)や、さらに地域などで共に助け合うこと(共助)を積極的に取り組んでもらえるよう呼び掛けることが重要です。はじめに昨今、全国的に土砂災害や水害が発生する頻度が増加傾向にあり、その規模も大きなものになりつつあります。このような現状において治山事業の必要性は上昇しており、今後さらなる対策が求められるところです。しかしながら、多発化、大規模化する災害に対して、治山工事での対策には限界があり、すべての災害を防ぐことはできません。こうした中、中津川市茄子川地区では従来のハード対策に加え、ソフト対策も同時に進めることにより防災対策に対する地域住民の意識向上を図る取り組みを行っています本。記事ではこの地区で行ったソフト対策事例を紹介します。過去の災害と現在の対策中津川市茄子川地区は千旦林川、坂本川の源流があり、その下流には中央自動車道や国道19号など重要な道路が交差し▲明治37年当時の被災状況(出典:坂本記録写真集目で見るふるさとの歴史第1部)▲協議会による視察の様子▲小学生を対象とした施工中の見学の様子MORINOTAYORI11 MORINOTAYORI