ブックタイトル森林のたより 813号 2021年6月

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概要

森林のたより 813号 2021年6月

国有林の現場から56岐阜森林管理署長としての抱負づくり』を目標に、地域特性や自然条件に応じた森林整備を推進し、公益的機能を高度に発揮する多様で健全な森林に誘導してまいります。第二として、「森林・林業の成長産業化に向けた取組の推進」です。最新(2019年)の木材自給率は37・8%で9年連続で上昇しています。国産材の製材・加工工場や合板工場の大型化などにより輸入材から国産材へのシフトがさらに進んでいる状況です。一方で、今後も国産材を持続的に利用し続けていくためには伐採後の跡地を確実に再造林することが不可欠ですが、造4月の異動で、九州森林管理局から岐阜森林管理署長として参りました久保です。これからよろしくお願いいたします。出身地は鹿児島県です。本庁での勤務が長く、主に民有林の森林整備事業や森林保護対策業務等に携わってきました。また、出向経験も3回あり、そのうち3年間は山梨県庁に出向し、民有林行政の実務を経験させていただきました。さて、岐阜森林管理署長としての抱負ですが、まず、第一は「山地の防災・減災対策の取組強化と多様な森林づくりの推進」です。皆様ご存じのとおり、岐阜県は山が急峻で昨年7月に発生した豪雨の際には、多くの被害が発生しました。現在、検討が進められている次期森林・林業基本計画においては災害リスク管理にどのように取り組むかが重要な論点となっています。近年の災害の激甚化・常態化を認識し、事前対策や森林の防災機能を高めるための対策が強く求められています。このため、間伐等の森林整備や林道等の整備・強化等を図る国土強靱化5か年加速化対策や治山施設の整備・強化等による流木・土石流・山腹崩壊抑制対策、既存施設の長寿命化対策を推進してまいります。また、併せて『災害に強い森林や遊歩道を利用される方への被害防止に向け、岐阜大学や岐阜市等と連携して様々な対策を講じてまいります。第四は、「民有林との連携促進」です。岐阜署では、管内の五つの市町村と森林整備協定を締結して、民有林と連携した森林施業の実施や森林・林業技術者の育成等に取り組んできましたが、今後も引き続き地域の森林・林業の再生に向けて積極的に取り組んでまいります。さらに今年度から、新たな取組として市町村の実務担当者の方々の森林・林業に関する知識や技術力の向上にお役に立てていただくため、局・署等で開催する「実務研修」や「現地検討会」等へ参加していただくことを計画しています。こうした取組により民有林との協力・連携を一層促進してまいります。以上が、署長として取り組んでまいりたい事項です。引き続き、地域との連携を密にし、市町村の声、国有林への要望を聞きながら、県をはじめ地元自治体・住民の皆様に国有林の役割を深く理解してもらうことにより、国有林という組織は地域に絶対欠かせない組織だと思っていただけるよう頑張ってまいる所存です。(岐阜森林管理署長久保芳文)林コストの縮減など様々な課題を解決する必要があります。岐阜署では、引き続き、システム販売、委託販売等を通じて木材の安定供給を行いつつ、効率的な作業システムの構築による生産性向上や再造林コストの縮減につながる伐採と造林の一貫作業システムの推進、早生樹の試験植栽などの先駆的手法の実証・導入等に取り組んでまいります。第三は、「野生鳥獣被害対策の推進」です。近年のニホンジカによる森林被害は、確実な再造林の達成に支障を及ぼすだけでなく、被害防止対策によるコスト増は森林所有者の経営意欲の減退にもつながっています。また、急傾斜地等における踏み荒らしや下層植生の消失は、土壌浸食の発生、植生の単純化など国土保全や森林生態系の保全にも影響を及ぼしています。岐阜署では、職員による捕獲(くくり罠)を毎年実施し個体数管理に努めるとともに、ライトセンサスやセンサーカメラによる生息確認に加えて、今年度は岐阜県が計画されているニホンジカの生息密度等の把握のためのモニタリング事業に協力してまいります。さらに、金華山のイノシシについても、近隣住民の皆様▲令和2年7月豪雨による被害▲高性能林業機械を活用した森林施業▲森林整備協定の会議MORINOTAYORI 10