ブックタイトル森林のたより 813号 2021年6月

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概要

森林のたより 813号 2021年6月

普及コーナー林業デジタル化がやってきた!―西濃地域でのスマート林業の取組み―■西濃農林事務所林業課古川明里電波を複数受信し、その位置の座標を特定し、記録していくというものです。(皆さんがご存じのGPSは、GNSS衛星の一種です。)〔調査結果〕・新しい技術だが広く普及したGPS技術などが応用され、初めてでも、測地操作や電算処理はスムーズであった。・現地で使用する機材はハンディサイズの受信機とリンクしたスマートフォンのセットのみ。(写真1)・測量は一人で行うことができるが、安全の為、基本は2名体制が望ましい。・衛星電波の受信状況とデータ精度を手元で確認でき、確実な測地ができた。・杭間の見通し確保(灌木払い)は不要。上部が塞がっていると受信できない場合があるが、これまでの森林では受信できている。・取得した座標をつなげて施工図作成(面積算定)するほか、個別の地点も容易に図化でき、組合では観光景観林整備事業で行った広葉樹植栽箇所の図化に活用できた。GNSS受信機は即活用でき、測量結果は森林整備の補助事業にも適用できることから、今年度からどんどん活用していく予定です。地上レーザ計測器「OWL」〔しくみ〕※森林のたより第809号15頁、第811号17頁に関連記事掲載デジタル技術と林業この「森林のたより」でも紹介しています「スマート林業」と呼ばれる新技術のひとつにデジタル化があります。林業と言えば、山林の中で汗をかきながら、木を育て、チェンソーで木を伐り、丸太をトラックに積んで出荷していく、という姿が一番思い浮かぶのではないでしょうか?実は、森林を管理する際には、資源量調査や区域測量などの作業も行っています。新技術では、レーザ測量や衛星システムにより高精度な情報が得られ、県内を始め全国の森林・林業業界でその活用が期待されています。進む森林経営管理に備えて平成31年4月に森林経営管理法が新たに施行され、森林の経営管理を所有者が行うことが責務として明記されました。それに併せて、市町村や県では森林所有者の経営管理を推進する施策(「森林経営管理制度」)や、実際に森林整備を行う担い手の育成などを進めています。西南濃森林組合では、森林経営管理制度における森林整備の担い手となる林業経営者の認定を受け、森林所有者に施業提案を行う森林施業プランナーの技能強化や生産体制強化などの取組みを進めています。その一つとして、森林管理の効率化、高精度化を図るためのデジタルシステムを令和2年度に導入しましたので、西濃農林事務所では同森林組合と協力し、当該新技術の活用に向けた実証を始めました。GNSS衛星電波を利用した測量〔しくみ〕※森林のたより第808号19頁に関連記事掲載間伐などの森林整備で測量をする際、これまでは施工地の周囲を、レーザ計測器と反射板を使い、境界杭等2点間の角度や距離を2名体制で測量していました。今回導入のGNSS衛星を利用した測量は、地球を回っている衛星からの従来、資源量など林況を調査する場合は、林木の胸高直径や樹高などを一本一本測り、記録をパソコンに打ち込んで解析を行うというほぼ手作業によるものでした。OWLは写真2のように支柱の上部にレーザ部を取り付けた形状で、センサー部が360度回転しながら周囲のレーザ反射を読み取ります。測量手は、おおよそ10m間隔で林内をスキャン、地点ごとに360度の反射(点群データ)を取得します。点群データをパソコンの専用ソフトで処理すると、各点群データから、樹木の形をしたものを判断し、重なりや同一の木などを判断し、それぞれの木の配置や材積などが計算されます。更に特徴的なのは、点群データから3次元画像を作成できることです(図3)。〔調査結果〕本システムは、衛星測地と比べて専門的なまったく▲写真1GNSS受信機と操作用スマートフォン▲写真2OWLオレンジ色の本体上部にあるセンサー部が回転する▲図33次元化した画像MORINOTAYORI 16