ブックタイトル森林のたより 834号 2023年3月

ページ
6/18

このページは 森林のたより 834号 2023年3月 の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

森林のたより 834号 2023年3月

ぎふ木遊館の木工室では、土日・祝日を中心に、木のものづくりなどの木育プログラムを体験することができます。様々な木育メニューを通して、子どもたちは五感を使って木への愛着を持ち、大人には森と人との関わりに気付いていただきます。今回は1月に開催した2つの木育プログラムを紹介します。どちらも「ホンモノの技術」を子どもたちが楽しめる内容に落とし込みつつ、『ぎふ木育30年ビジョン』のステップ2(関心をもつ、気付く)につながる構成となっていました。世界にひとつ!自分だけのこまづくり体験森林文化アカデミークリエーター科2年生の白瀧周さんに課題研究の一環として実施していただきました。木工旋盤を持ち込み、普段はなかなか見ることのない旋盤加工を見学してもらい、シュルシュルとみるみるうちに削れていく様子に子どもも大人も釘付けになっていました。子どもたちにはもじゃもじゃの削り屑がおもしろいようでその感触を楽しんでいました。今回の素材となった樹はエゴノキで、花や葉の様子、和傘のロクロに使われていることなどを紹介し、絵本も使いながら、「樹から木へのつながり」を子どもたちにもわかる言葉で伝えようと工夫されていました。後半は子どもたちのお楽しみの部分。旋盤で回る木のコマに油性ペンで模様を付けます。どんな色にするか、どんな模様にするかは子どもたちの自由。大人の口出しなしです。最初は恐る恐るペンを当てていた子どもたちも、コツをつかんだらどんどん大胆に。世界にひとつの、個性豊かなコマが出来上がりました。最後に、それぞれ作ったコマを一緒のコマ台で回して遊ぶことで参加者同士のコミュニケーションも生まれました。アンケートを見ると、保護者の方から「小1の娘が学校の授業でコマの色塗りをしたがそのコマが丸太から削り出されていることを知れておもしろかったと思います」「実際のエゴノキを見てみたい」と好反応がありました。家庭で普段から子どもの育ちを見守る保護者の方々にこのように感じていただけたことは、今回のプログラムが「イベント」に終わるのではなく、ぎふ木育として意義のあるものであったと思います。ヒノキのコースター(宮笠の笠ひでで作ろう)ぎふ木育協会に所属するぎふ木育指導員の臼田陽子さんに実施していただきました。まずは、高山市無形文化財である宮笠の「ヒデ」の作り方について、イラストや動画を使ってお話しします。今回使う素材がどんなふうに出来上がるのかは、このプログラムの重要な部分です。直径30~40cmの大きなヒノキの丸太を煮て、グルグル回る機械でカツラ剥きにして薄いシート状の木が出来上がる様子はインパクトがあります。さらに、宮笠保存会指導者の問坂義一さんによる、ヒデを編む早業も映像で見てもらい、伝統技術の一端に触れていただきました。さて、こうした技術をより身近に感じてもらうために、コースターを編んでいきます。臼田さんは今回、子どもたちにも気後れすることなく素材に触れ、自分のお気に入りを作る楽しさを感じてもらうために、色を付けたヒデも用意されました。黄色は黄蘗(キハダ)の染液で染めたそうです。こうした細かい工夫も大事ですね。時間が経ってくると、子どもたちはヒデをまあるく丸めたり、好きなように組み合わせて飾りを作り始めました(下の右写真のよう)。こうした場面でも、無理にコースターづくりに引き戻さず、その様子を見守り声を掛けながら自由な作品づくりに寄り添います。一方、保護者の方はコースターづくりに集中。家庭に帰ってからも使っていただける満足いく作品が出来上がりました。使うたびに宮笠のこと、ヒデのこと、ヒノキのこと、森のことが食卓の話題に上ると良いですね。MORINOTAYORI 6