ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

佐藤文音,藤井啓介,辻大士,神藤隆志,北濃成樹,金美珍,堀田和司,大藏倫博the other hand, subjects who did not take part in the SSE group activity exhibited a significant decline intheir performance on the timed up and go (P = 0.007). No significant difference was found in the other 4physical performance tests for either group. Conclusion: Participation in an SSE group activity managed byolder volunteers can maintain the mobility skills of community-dwelling older women.キーワード:スクエアステップ,運動サークル,高齢ボランティア,下肢機能,介護予防Keywords:Square-Stepping Exercise, exercise group activity, older volunteers, lower extremity physicalfunction, care preventionⅠ.はじめに超高齢社会の我が国では,地域資源を有効に活用し,医療や介護,予防,生活支援を包括的に提供する地域づくりを目指す政策が展開されている.平成29年度に完全移行となる8)介護予防・日常生活支援総合事業では,地域住民の自主性や主体性,支え合いが重視され,住民が運営する通いの場が高齢者にとって身近で継続的に参加できる介護予防の場になることが期待されている.特に,運動実践を主目的とした通いの場である運動サークルは,介護認定のリスク抑制につながることが報告されており?),介護予防・日常生活支援総合事業において,高齢者の身体機能を維持・向上させる場,および効率的・効果的な介護予防活動になると期待されている8).各自治体では運動サークルの普及に向けて,サークルの設立や運営,活動の中で運動指導をおこなう高齢ボランティアの養成がおこなわれている?).運動サークルに関する先行研究では,高齢者が高齢ボランティアとして活動することで得る身体機能や認知機能,QoL等への効果に関する報告が多く10,20),高齢ボランティアの運動指導を受ける者に着目した検討は十分にされていない22).北村ら?)は,運動サークルの介護予防効果を介護認定率や医療費をアウトカムとして明らかにする必要性を述べると共に,その前段階として,サークル参加による身体機能への効果検証を課題として挙げている.高齢ボランティアによる運動指導の効果を検討することは,我が国の介護予防施策を推進するための基礎資料を得ることにも繋がり,急務の課題と言える.運動サークルでは,ご当地体操や筋力強化トレーニング等,様々な運動が実践されており?,9,2?),スクエアステップ・エクササイズ(以下,SSE)もその一つである10).SSEはマットの上を前後,左右,斜め方向へ連続移動するステップ運動であり,高齢者が実践することで主に下肢機能の維持・向上や転倒予防に効果的であると報告されている1?,19).高齢者における下肢機能の低下は,移動能力や日常1,2,23)3,4)生活動作能力の低下,要介護認定の発生に繋がると報告されているため,SSEは,身体機能の維持による介護予防を目的とした運動サークルのプログラムに適していると考えられる.さらに,SSEは高齢者が継続実践しやすく18),運動指導の非専門家であるボランティアであっても安全かつ適切な指導ができる運動であると示唆されている1?).現在SSEを主運動とした運動サークル(以下,SSEサークル)は複数の市町村で開催され普及が進んでいるが,SSEサークルへの参加が地域在住高齢者の下肢機能に与える効果は十分に検討されていない.そこで本研究の目的は,地域在住高齢者が高齢ボランティアによって運営されるSSEサークルへ約1年間,継続的に参加することで得られる下肢機能への効果を明らかにすることとした.Ⅱ.方法1.対象者および割り付け方法我々は,2009年度から201?年度まで年に1回,茨城県笠間市において活動するSSEサークルの所属者を対象とした体力測定会を実施? 187 ?