ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci.　第63巻　第2号　通巻 第288号

概要

教育医学 J.Educ.Health Sci.　第63巻　第2号　通巻 第288号

佐藤文音，藤井啓介，辻大士，神藤隆志，北濃成樹，金美珍，堀田和司，大藏倫博表1下肢機能総合得点によるマッチング前のサークル群，コントロール群の基本属性および下肢機能サークル群コントロール群n Mean±SD n Mean±SDP値年齢，歳30?1.4±4.114??3.4±4.90.039身長，cm301?0.5±4.714?148.7±5.50.108体重，kg30?1.1±6.214??0.8±7.30.833Body mass index，kg/m23022.6±2.714?23.0±3.20.?80教育年数，年3011.4±1.614?11.3±2.20.?13追跡期間，月3011.7±0.514?11.3±0.5<0.001開眼片足立ち時間，秒304?.7±21.214233.3±22.30.00??回椅子立ち上がり時間，秒306.4±1.71428.0±2.4<0.001Timed up and go，秒305.8±0.814?6.6±1.90.001? m通常歩行時間，秒303.3±0.414?3.9±0.9<0.001全身選択反応時間，ミリ秒3099?±801441080±1??<0.001SD：standard deviationるいは臥位でのストレッチが実施された．また，レクリエーションでは，ボールやダンベルを用いた体操，手遊び等がおこなわれた．サークルの活動頻度は月2 ? 4回，活動時間は90?120分であった．高齢ボランティアは，回覧板や口コミによる勧誘活動，活動場所の確保，毎回の活動内容の計画，物品（SSEのマット，ラジカセ，CD，レクリエーションで使用する用具等）の準備，サークル時の進行役や運動指導等，サークル運営に関わる全てをおこなった．尚，毎回の活動に市の職員や運動指導の専門家は参加しなかった．3．測定項目対象者の基本属性として年齢，身長，体重，body mass index（以下，BMI），教育年数を調査した．下肢機能は，開眼片足立ち時間（静的バランス能力），?回椅子立ち上がり時間（下肢筋力），Timed up and go（以下，TUG）（起居移動動作能力），? m通常歩行時間（歩行能力），全身選択反応時間（反応性）の?つのパフォーマンステストを用いて測定した．各パフォーマンステストの測定方法は，Tsunodaら24）と同様の方法を実施した．4．対象者のマッチング前述のサークル群（30名），コントロール群（14?名）の分析対象者について，ベースラインにおける特徴を比較した結果，基本属性，下肢機能，追跡期間に有意差が認められた（表1）．高齢者においては，年齢や身体機能水準がその後の身体機能の変化に影響を与えると報告されている13,1?）．そのため本研究では，ベースラインにおける各対象者の下肢機能を評価し，対象者のマッチング?）をおこなった．ベースラインで測定した?項目のパフォーマンステストの測定値からZスコアを算出し，その平均値を各対象者の下肢機能総合得点と定義した．Zスコアの算出式は，測定値が高いほど良好なパフォーマンステストは（各対象者の測定値?平均値）／（標準偏差）とし，測定値が低いほど良好なパフォーマンステストは（各対象者の測定値＋平均値）／（標準偏差）とした．算出に用いる母集団の平均値および標準偏差には，2009年度から201?年度に笠間市で開催した体力測定会に初めて参加した地域在住女性高齢者（SSEサークル非所属者）40?名のデータを用いた．下肢機能総合得点の算出にあたり，コントロール群の対象者14?名のうち，パフォーマンステストに2項目以上の欠損があった者4名を除外した．マッチングに際しては，サークル群の各対象者の下肢機能総合得点±1標準偏差（0.4??）を算出し，その範囲におさまる得点の者をコントロール群から抜き出した．範囲におさまる得点の者の人数は最小で11名，最大で??名であり，抜き出した後にRAND関数により値を割り振り，値が最も大きかった者をコントロール群の分析対象者として選出した．マッチングの結果，サークル群30名，コントロー? 189 ?