ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci.　第63巻　第2号　通巻 第288号

概要

教育医学 J.Educ.Health Sci.　第63巻　第2号　通巻 第288号

介護老人福祉施設の施設管理責任者による人材定着のための取り組みる．特養で働く職員は他職種間でのサポーティブな関係性の構築が施設に対するつながりを強め職務継続意思に影響することが示されており18)，同職種間のサポーティブな関係性の構築と共に他職種間のシームレスで相互に尊重したかかわりが大切となると考える．Ⅴ．研究の限界本研究の対象は?施設の施設管理責任者によるデータであり，人材定着に対する組織運営や職員に対する人的サポートを明らかにするには限界がある．また，人材定着に必要なマネジメントについては，施設管理責任者側のみの考えだけでなく，今後は現場で働く職員側を対象として調査を実施し，組織がどう対応していかねばならないか，その組織を支える人事や雇用管理の諸施策が，基本的にどのような方向性をもたねばならないかについて総合的にとらえていく必要がある．Ⅵ．まとめ人材定着に対する組織運営については，【労働環境改善】と【能力開発】の2つのカテゴリーが，人材定着のための人的サポートについては，【円滑な人間関係の構築】1つのカテゴリーが抽出された．職員の人材定着について，組織マネジメントが大きく影響していると考えられ，この課題に対し施設管理責任者の果たす役割は大きい．組織のマネジメントを適切に行うことで，職員の仕事に対するやりがいや職務継続意思が高まることが考えられ，結果として人材定着に資することができると考える．Ⅶ．利益相反本研究における利益相反は存在しない．本研究は平成2?年度?平成30年度科学研究費助成事業（基盤研究C：課題番号1?K11??9）を受けて行った研究の一部である．文1）吾郷美奈恵，三島三代子，石橋照子，梶谷みゆき（2014）保健師・助産師・看護師の職務満足度と思考特性や職業経験の質との関係，日本医学看護学教育学会誌，23（2），13?20．2）安藤正人（2011）雇用形態によるモチベーション構造の違いに関する研究，広島大学マメネジメント研究，11，21?42．3）張允禎，黒田研二（2008）特別養護老人ホームにおける介護職員の離職率に関する研究，厚生の指標，55（15），16?23．4）Hignett S, Crumpton E, Ruszala S, AlexanderP, Fray M and Fletchcr B (2003)Evidencebasedpatient handling systematic review.Nurses Stand, 17, 33-36.5）堀田聰子（2010）介護保険事業所（施設系）における介護職員のストレス軽減と雇用管理，季刊・社会保障研究，46（2），150?163．6）石黒文子（2009）介護老人福祉施設におけるケアの質の確保と施設の組織・管理，厚生の指標，56（13），1?9．7）株式会社三菱総合研究所（2015）介護施設における看護職員の確保・定着の具体的方策に関する調査研究事業報告書，1?85，http://www.mri.co.jp/project_related/roujinhoken/uploadfiles/h26/h26_05.pdf．2016年11月12日閲覧8）川村晴美，鈴木英子（2014）病院に勤務する看護職のワーク・ライフ・バランスとバーンアウトとの関連，日本看護科学会誌，34，131?141．9）経済産業省（2016）「新産業構造ビジョン」第4次産業革命をリードする日本の戦略，http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/shin_sangyoukouzou/pdf/008_05_01.pdf．2016年12月15日閲覧10）北村光子，山崎久子，大江千恵子，綿祐二（2003）介護福祉士の就労意欲に関する研究?佐世保およびその近接地域の介護福祉士?，長崎国際大学論叢，3，185?193．11）公益社団法人日本看護協会（2013）平成24年度高齢者ケア施設で働く看護職員の実態調査報告書，https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/2012/koreisha.pdf．2017年3月24日閲覧献? 202 ?