ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

ページ
44/58

このページは 教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号 の電子ブックに掲載されている44ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

ソーシャルネットワーキングサービスを利用した水泳のけのび動作の指導方法ラスになったこともあります.初心を忘れないように,頑張っていきたいと思います.対象者B:体が反ってしまって前回よりもへたくそになってしまいました.この撮影を通して自分の水中動作を改善することができたので,僕はとても良かったです.そして,今後の試合で,この撮影で学んだことを上手に生かしていこうと思います.対象者C:一回目に比べてだいぶきれいになったなと思いました.特に頭の位置がすぐに決められるようになりました.試合のときや練習のダッシュの時に焦らず今回のけのびができると良いなと思いました.自分の泳ぎと向き合えて良かったです.対象者D:自分のストリームラインは上手な人とどう違うのかを比較することができ,今までの自分のストリームラインがだんだんわかってきて,はじめよりは良くなったと思います.泳ぎにもつなげていきたいです.2.けのび動作介入群の主要局面で得点の低下した対象者が1名いたが,それ以外の局面では改善した.他の3名では全局面で改善した.一方,対照群では接地局面で1名,準備局面で2名,主要局面で2名,合計得点で1名が低下した(表1).各局面とも主効果(時間,群)および交互作用(時間×群)は有意でなかった.3.質問紙調査の結果介入による主観的な効果を表2に示した.各分類とも介入群4名の合計得点は対照群に比べて高かったが,いずれの分類においても有意ではなかった.自由記述欄に記述された文字量は介入群の4名で18?,1?8,303,328文字,対照群の4名で2?,12?,139,49文字であり,群間に有意差が認められた(U<0.01,P=0.03)(資料1).また,対象者の感じる変化や,今後の意志が示されている表現は介入群で3,3,?,?箇所,対照群で1,2,2,2箇所あり,群間差は有意だった(U<0.01,P=0.03).介入群の記述からは,「自分は頭が上がるクセや,下に沈んでいってしまうクセがあることがわかった」や「足が上がりすぎていたり,下に潜りすぎていたりしてあまりうまくいかなかった」といった具体的な自分の課題が挙げられていた.また,「上手な人とどう違うのかを感じることができた」や「撮影で自分の苦手な水中動作を改善できた」という記述もあり,自分と他者,あるいは自分の過去と現在を比較し,自分の泳ぎを客観視できていることがうかがえた.これに対して対照群では「知ることができてよかった」や「悪いところが分かった」などの感想が得られた.対照群はプールでの指導のみだったため他者との比較が十分にできておらず,自由記述にそのことは述べられていなかった.Ⅳ.考察1.SNSについて動画をSNS上に保存することで,自分自身のけのび動作を毎回確認することができるとともに,けのび動作の変化具合を確認したり,他者と比較したりすることが容易になったことが再生数やコメントから明らかとなった.30個の動画に対する対象者やその保護者のコメントは延べ2?回あり,1動画あたり約1回,コメントしていることがうかがえた.このことから,SNSを利用した介入は児童・生徒およびその保護者に受け入れられる可能性を示唆している.2.けのび動作についてけのび動作の得点変化については接地,準備,主要のいずれの局面でも有意ではなかった.ただし,Facebookには「体が反ってしまった」や「頭の位置がすぐに決められた」といったコメントがあり,これらは各局面の動作改善に繋がる内容を含んでいた.また,「上手な人とどう違うのか」などのコメントもあった.浦ら8)は卓球の動作改善において,自らの動作を記録し,視覚的に把握するとともに,熟練者と比較することで動作の改善ができるようになったことを報告している.このこと? 208 ?