ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

重松良祐,森田松之助から,本研究でも,Facebookを用いて他者と自分の比較,自分の過去と現在の比較によって課題を認識していたといえる.これらのことから,SNSの利用によってけのび動作を改善させられる可能性が示唆された.3.内省について有意ではなかったが介入群ではストリームラインを知る等の質問紙の得点が高かった.野村ら3)は,インターネットのマルチコンテンツを用いた水泳指導によって,繰り返し動画を見ることで水泳動作のイメージをつかめたことを報告している.本研究においてもFacebookの動画で自分の動作を確認することで,自分なりの効果を得たものと思われる.?)杉原は,運動スキルの獲得を目的とした運動学習では,学習者本人が見本となる動作を観察し,その特徴を踏まえて練習をすることが効果的であると述べている.本研究でもオリンピック選手の水中動作や,解説のついた映像を見本にすることで他者と自分の動作を比較し,効果的に学習することができたと推測される.自由記述からも,「上手な人とどう違うのか」などと,山本ら9)の推奨する「自宅における水泳学習」が効果的におこなわれたことが示唆された.また,本人が感じる効果や今後の意志に関する記述は介入群で多く,SNSによる効果と思われた.4.本研究の限界と課題対象者を性と年齢で層化した上で群を割り付けたが,泳力では層化しなかった.このことが介入効果に影響した可能性がある.また対象者の人数が8人だったことから,今後はサンプルサイズを増やして検証する必要がある.対照群は介入群と同じスイミングクラブに所属していたため,SNSの動画や情報を把握していた可能性があり,このことも結果に影響したかもしれない.さらに,群分けを把握しているスイミングクラブの指導者1名がけのび動作を評価したため,群分け情報を伏せる,評価者数を増やすといった検討も必要であろう.下門ら?)は,学習者が目標とする動作をトレーニング中にできたとしても,運動動作の再現性がなければ学習者が技能を習得したとは言い難いと指摘している.本研究ではインターネット上で自分の動作を知り,目標とする動作を見ることができたが,それを練習中や試合で常に再現できたかについては把握しなかった.今後はSNSで得た自分の動作の情報を現場で常に再現できるような介入も必要であろう.?.本研究の有用性本研究ではSNSを用いることで,プール以外の場での指導が可能であることを確認できた.また,過去の動画や情報提供,コメントでのフィードバックが容易であることも確認できた.さらに,対象者は他者と自分,過去と現在の比較によって内省を深められることも確認できた.これらのことから,SNSを用いた指導の有用性が示唆された.Ⅴ.まとめ本研究では動画を共有するツールとしてSNSを用いることで,水泳の新しい指導法の効果と有用性を検討した.その結果,プール以外の場での指導や,過去の動画の保存や情報提供,コメントでのフィードバックが可能になることを確認できた.また,対象者である児童・生徒が自分の動作について考え,他者との比較によって自分の動作を内省することもできた.さらに,この方法が受け入れられやすいことも確認できた.謝辞本研究に協力してくださった皆様に感謝申し上げます.なお,開示すべきCOI状態はありません.? 209 ?