ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

江藤和子,谷川尚己,戸塚智美で34.7%,中学3年生で44.3%,高校3年生で??.7%である.初めて飲酒した時期は,小学校入学前や小学生にも多く,喫煙よりも低年齢で始められていること,飲酒のきっかけは,家族からの勧めということ,お酒の入手方法は,自宅のお酒が圧倒的に多いこと等が報告されている?).保護者は,子どもの飲酒をどのように見ているのか.絶対に飲酒をしてはいけないという親は約10%で,90%の親は何らかの形で容認している1?).このように,すべての人々の使用が法律で禁止されている覚せい剤や大麻などの薬物とは異なり,飲酒は大人にとって合法であり,医学的には少量の飲酒は健康に良いと言われている.喫煙,飲酒,薬物といった問題行動に関しては,親の意見や家庭環境が大きな影響を及ぼし12),さらに,親の飲酒頻度が高いほど,親は子どもに飲酒を勧め,子どもは親の影響を受けやすいことも報告されている1?).保護者が,未成年者の飲酒による身体的・精神的・社会的な影響による危険性を理解せず,認識もしていない.つまり,未成年者の飲酒行動を防止するには,生徒のみの教育ではなく,親への啓発が必要である.江藤は,中学生用の薬物防止教育プログラムの開発を行い,このプログラムの一部にインターネットを使用した生徒とその保護者による飲酒防止学習プログラムを組み込んだ2).学校教育の保健体育の授業に導入し,インターネットベースの学習環境を採用することにより,自宅において時間的・空間的な制約に縛られず親子で参加することを可能とし,その結果,保護者のプログラムへの参加率は約90%にまで達した.これまで,一般人口を対象とした調査で,飲酒が子供たちに及ぼす影響については,高校生の1?.7%がアルコール依存症者の子供である(CAST),親の飲酒が高いほど子供たちはその影響を受けていることが報告されている18).高校生を対象とした調査では親がアルコール問題を持つ子供は11.6%であった14).親のアルコール症は子どもたちに大きな影響を与え続けていることが報告されている1,11).「小学生をもつ両親の飲酒状況」に焦点を当てた調査は,見当たらなかった.そこで,本研究においては,小学生を持つ両親を対象に,飲酒状況と飲酒に関する知識及び意識について明らかにする中で,「小学生の飲酒防止教育」の課題について検討することを目的とした.Ⅱ.方法1.研究方法1)対象と期間小学校の子供を持つ親1,884人に,201?年?月? ?月に調査を行った.2)調査方法調査用紙の配布と回収は,筆者らあるいは担任が,保護者会にて研究の趣旨と倫理的事項について説明した後,一家族2枚(両親)の調査用紙を配布した.調査用紙は保護者自身が封筒に入れて封印し,回収箱に入れるよう説明,依頼し,回収した.3)調査内容アンケート内容は,小学校・中学校の教科書などから?-9),未成年者がお酒を飲み続けた場合におきる身体への影響についての知識について,生まれつきのお酒の体質について,小学生の方にお酒を勧めたことの有無について,小学校の教育の中で飲酒防止に関する学習内容についての4項目で構成したものである.(1)未成年者がお酒を飲み続けた場合におきる身体への影響についての知識については,1身体の成長を妨げて,性ホルモンのバランスを崩すことがある.2一度に大量の飲酒をすると急性アルコール中毒になる.3脳の機能低下(記憶力など)が現れる.4胃が悪くなる.5肝臓病(肝炎・肝硬変など)になることがある.6すい臓障害(すい炎・糖尿病)になることがある.7一気飲みをすると死亡することがある.8アルコールには依存性がある.9アルコール依存症になると,人格障害になることがある.から複数回答可で回答を求めた.(2)飲酒状況は,「全く飲まない」と「飲む」から回答を求め,「飲む」と答えた? 213 ?