ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第3号 通巻 第289号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第3号 通巻 第289号

地域包括ケア病棟における認知症高齢患者のもてる力の活用の現状と課題限定されているにすぎない.ここでの回答者のイメージは,インタビュアーのスケジュールに厳重された回答者ではない5).本研究においては,互いが自由に話しながら,より詳細化することが必要であると判断したため,本研究にはアクティブ・インタビューを採用することとした.なお,対象者の基本属性は調査票を用いた.3.調査内容調査内容は,対象者の属性は,1性別,2年齢,3資格,4勤務年数とした.インタビュー内容は,1地域包括ケア病棟における認知症高齢患者のもてる力をどのように捉えているか,2地域包括ケア病棟における認知症高齢患者のもてる力をどのように活用しているか等とした.4.分析方法インタビュー内容を逐語録とし,得られた記述を意味のまとまりごとにコードとし,個々のコードの類似性に着目をしてカテゴリー化し,その分類を忠実に反映させたカテゴリーネームをつけた.また,研究者間で繰り返し検討を重ね,客観性の確保に努めた.5.本研究の用語の定義11)鈴木は,認知症高齢患者の障害だけに注目するのではなく,残存機能を含めた心身の機能の強みとして,もてる力を用いている.そのため,本研究における,もてる力とは,単に「できること」だけではなく,できる可能性を含めた個人に備わる力であり,個人のもつあらゆる力,つまり身体的側面だけではなく,心理的側面,社会的側面を総合した力のこととする.6.倫理的配慮病院の看護部長及び調査対象者に対して口頭と文章で調査依頼を行い,同意書にて同意を得た.本研究の協力参加は自由意思であり,同意の有無によって職務上の不利益を被らないこと,個人が特定されないよう配慮し学会等で発表すること等を説明した.なお,本研究は,岐阜大学大学院医学系研究科医学研究等倫理審査委員会(承認番号28?64)の承認を得て実施した.Ⅲ.結果1.対象者の属性対象者は女性5名(83.3%),平均年齢±SDは37.8±8.0歳,すべて看護師であり,介護支援専門員は2名(33.3%)であった.看護師としての通算勤務年数は,10年以上は4名(66.7%)と最も多く,地域包括ケア病棟の勤務年数は2 ? 3年未満および1 ? 2年未満はともに2名(33.3%)であった.2.地域包括ケアにおける認知症高齢患者のもてる力の活用の現状インタビューから得られた逐語録よりコードを抽出し,以下,カテゴリーは【】,サブカテゴリーは〈〉で示す.病棟看護師における認知症高齢患者のもてる力の活用の実態は,【在宅復帰に向けての関わり】,【入院生活の中で患者のもてる力を意識した関わり】,【多職種との連携を図りながら退院を見据えた患者のもてる力の把握】,【患者のもてる力の活用ができない状況】,【認知症によるもてる力の活用の困難さ】の5つのカテゴリー,14のサブカテゴリーから構成された.表1基本属性ID年齢性別資格看護師としての年数地域包括ケア病棟(病床)での年数132男看護師・准看護師6-7年未満6-7年未満242女看護師・介護支援専門員10年以上7年以上(8年目)344女看護師・准看護師・介護支援門員10年以上2-3年未満446女看護師10年以上2-3年未満525女看護師4-5年未満1-2年未満638女看護師10年以上1-2年未満? 254 ?