ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第3号 通巻 第289号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第3号 通巻 第289号

稲垣良介,水沢利栄,田邊章乃表5海のイラスト「見つけた危険をさけるための対策は,どのようなことがありますかに対する児童の記載内容要因キーワード記述数出現率(%)記述例1記述例2行動睡眠1622.5寝ないビーチで寝たほうがいい行動用具使用1216.9危険な道具はもっていかない人から離れて使う環境制限区域1014.1外へ出ない範囲を守って泳ぐ環境ゴミ912.7ごみは捨てないゴミを持って帰る行動衣類79.9サンダルをはくはだしで遊ばない行動安全対策45.6危険を知らせる看板を立てる見張り人をおく環境波11.4高い波に近づかない―その他1216.9ルールを守る周りをよく見る合計71――n=22表6リスク認識と対策実行認識の項目別の平均得点と標準偏差リスク認識対策実行認識項目事前1直前2遅延3M±SD M±SD M±SD 1VS2 1VS3 2VS31,日本3.45±0.91 3.77±0.43 3.82±0.39 3.59*3.71*0.512,友人1.68±0.89 2.45±1.10 2.41±1.14 5.15*3.90*0.303,水深3.27±0.98 3.59±0.59 3.50±0.80 2.63 1.69 0.754,河床3.27±0.98 3.41±0.91 3.43±0.95 1.37 0.83 0.465,河川3.27±1.58 3.32±1.73 3.18±1.68 0.29 0.54 0.886.家庭3.14±2.01 3.32±1.96 3.23±2.00 1.56 0.71 0.78n=22*p<0.05ば,児童の発達段階に配慮しつつ,教師が介入したり,イラスト中の人物を減らし,環境に目を向けさせたりといった改善が必要だろう.さらに,人間の行動が原因となって生じる事故だけでなく,水の特性から生じる事故への気付きが促される資料も必要だろう.その際,今回用いたような,イラストや静止画では難しいかもしれない.水の特性が表現された資料について検討する必要がある.2)海のイラストに対するワークシートの記載内容について表4は,海のイラスト(図1)を見て「どのような危険がありますか」という質問に対して得られた児童のワークシートの記載内容をまとめた.記述数の上位3項目(出現率計65.4%)は,子どもの行動を対象とする行動要因に分類された.浮き輪に乗って寝ている子どもの睡眠に関する記述数が最も多く(出現率26.9%),児童はイラスト中の人物に焦点化する傾向が覗えた.これらは,河川のイラストと同様の傾向であった.児童は,イラストの中央に注意を向ける可能性があるため,気付かせたい事柄を中央に配置してイラストを作成することは有効であろう.一方,環境要因に関しては,「砂浜」は出現率14.1%であった.しかし,「波」は出現率1.3%であり「水温」や「水深」に関する具体的な記述は得られなかった.河川と同様に,イラストでは表現しにくい危険要因が明らかになった.表5は,海のイラスト(図1)を見て「危険をさけるための対策は,どのようなことがありますか」という質問に対して得られた児童のワークシートの記載内容をまとめた.児童による記述数が最も多かったのは,「睡眠」であり,出現率22.5%であった.「危険」に対する記述と同様に「浮き輪で寝ている子ども」に対する対策が多かった.河川は,環境要因に対する記載があまり見られなかった.海は「用具使用」「制限区域」といった環境要因に対する記載が見られたものの,河川と同様に行動要因が上位を占めた.砂浜の危険物やそれらに対応した「衣類」に関する記述はみられた.水中の危険対策の記述はみられなかった.河川では,川に行くことや遊ぶことをやめるという記述がみられたが,海辺へ近づかない,海に行って遊ばないといった記述は見ら? 271 ?