ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第3号 通巻 第289号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第3号 通巻 第289号

フィットネスクラブにおける低頻度のパーソナルトレーニングがチェストプレスおよびレッグプレスの挙上重量に及ぼす影響トレーニングよりもチェストプレスにおける挙上重量が増加し,レッグプレスにおいては挙上重量の増加量に差は認められなかったものの増加傾向にあったことを報告している.本研究においてもトレーニング効果が認められた.また,本研究では,PT群も週3回のトレーニングのうち1回のみがパーソナルトレーナー帯同のトレーニングであった.このような低頻度のパーソナルトレーニングでも,トレーニング効果を得られる可能性が示唆された.加えて,本研究の対象者は年齢層が幅広かったが,チェストプレス,レッグプレスの挙上重量が増加した.松崎ら13)は,高齢者を対象に,パーソナルトレーニングを12週間行なった場合,体脂肪率の低下および筋量の増大がみられることを報告している.このことからも,パーソナルトレーニングは年齢関係なく有効であると推察される.また,Wilmore 22)は,大学生を対象にレッグプレス,ベンチプレス,アームカールの最大挙上重量における性差を検討したところ,下肢筋力において性差はないが,上肢筋力において女性は男性に比べ小さいと報告してい1)る.加えて,安倍は,除脂肪量が同じであれば下肢の筋断面積に性差はないが,上肢の筋断面積は男性に比べ女性は小さいと述べている.つまり,女性は男性に比べ,上肢の筋断面積が小さく,筋断面積あたりの筋力も劣ると考えられる.本研究の被験者の多くが,レッグプレスよりチェストプレスのトレーニングがきついと感じたことは,女性の上肢の筋力が劣ることを反映しているのかもしれない.しかし,Abe 2)ら,Cureton 3)ら,Wilmore 22)は,強度,頻度をきちんとコントロールして筋力トレーニングを実施した場合,筋肥大や筋力向上においての初期値に対する変化率に,上肢,下肢にかかわらず,性差がないことを報告している.つまり,筋力トレーニングにおいて,女性のトレーナビリティが男性よりも低いわけではない.PT群はきつさを感じても,パーソナルトレーナーから与えられたメニューをしっかり完遂させたのに対し,C群はきつさを避け,トレーニング量が不足した可能性が考えられる.実際に,トレーニング内容を確認したところ,筋力向上に適切な重量負荷設定になっていなかった.このことが,チェストプレスの挙上重量の増加量の違いに関係しているかもしれない.以上のことから,幅広い年齢層の女性を対象にした場合においても,低頻度パーソナルトレーニングは筋力を向上させることができると考えられる.Ⅴ.結語低頻度パーソナルトレーニングがチェストプレス,レッグプレスの挙上重量に影響を及ぼすか検討した.その結果,自己流のトレーニング,パーソナルトレーニングともに,挙上重量を増加させたが,パーソナルトレーニングは,より増加量が大きかった.このことから,自己流でトレーニングを行うよりもパーソナルトレーニングを取り入れた方がより大きな効果が得られ,低頻度パーソナルトレーニングでも,筋力向上に関して十分にトレーニング効果を得られることが示唆された.利益相反本研究において,開示すべき利益相反はない.文献1)安倍孝(2002)筋の男女差と人種差,「筋の科学辞典?構造・機能・運動?」,229-239,朝倉書店,東京.2)Abe T, DeHoyos D V, Pollock M L and GarzarellaL (2000) Time course for strength andmuscle thickness changes following upperand lower body resistance training in menand women, European Journal of AppliedPhysiology, 81, 174-180.3)Cureton K J, Collins M A, Hill DW andMcElhannon F M Jr (1988) Muscle hypertrophyin men and women, Medicine & Sciencein Sports & Exercise, 20 (4), 338-344.4)遠藤敏(2013)民間スポーツジムにおける運動継続の実情,日本臨床スポーツ医学会誌,21(2),346-349.? 284 ?