ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第64巻 第2号 通巻 第292号

ページ
30/68

このページは 教育医学 J.Educ.Health Sci. 第64巻 第2号 通巻 第292号 の電子ブックに掲載されている30ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第64巻 第2号 通巻 第292号

樋田小百合,平澤園子,熊田ますみ70名(97.2%)であった.対象者の基本属性は平均年齢±SDは20.73±2.64歳であり,女性57名(81.4%),男性13名(18.6%)であった.「演習における学びと写真教材を,実習でどのように活用していきたいか」に対する自由記述より得られた123記述から,4つのカテゴリー,11のサブカテゴリーが抽出された(表1).以下,カテゴリーは【】,サブカテゴリーは《》,実際の記述は「」斜体で示す.1)【写真教材をコミュニケーション手段としたい】学生は,「コミュニケーションを始める一つのきっかけとして活用したい」や「会話に困ったときなどに活用したい」など,《話題づくり》として活用しようとしていた.それは,「利用者の好みや生活背景,年齢に合わせた資料を使って話を引き出したい」や「写真からの共通することや相手が興味をもったものから活用したい」など,《高齢者が興味を示す写真の活用》をすることで《会話が弾む》ことを期待したことから,【写真教材をコミュニケーション手段としたい】と命名した.2)【利用者の理解を深めたい】学生は写真教材を活用することで,「写真の中から時代背景を思い出し,懐かしい思い出などの話を聞きだしたい」といった《時代背景を理解したい》ことや,「対象の好みや生活具合を聞き取ることができる」など,《利用者の生活の様子を理解したい》と考えていた.さらに,写真教材を活用したコミュニケーションの中から「高齢者の方の思いを知ったり,今の気持ちを知る際にも使用したい」など《利用者の思いを理解したい》と対象理解に活用したいと考えていたことから,【利用者の理解を深めたい】と命名した.3)【利用者と良好な関係を築きたい】学生は,「コミュニケーションを膨らませていけるようにしていきたい」など《コミュニケーションを深めたい》思いがあり,さらに,《不快な思いをさせたくない》というように,利用者に配慮したコミュニケーションを図りたいと望んでいた.それは,高齢者との《信頼関係を築きたい》という目標を掲げていたことから【利用者と良好な関係性を築きたい】と命名した.4)【回想法の活用により良い刺激として関わりたい】学生は,利用者が「写真を用いることでその場面の詳細なところまで思い浮かべることができる」など,《昔のことを思い出す》きっかけとなると考えていた.また,「高齢者の方は認知力が低下してきているので,写真を用いたもので昔のことを思い出してもらって認知力の向上が図れればよいと思う」のように思い出すことにより,《回想から脳への刺激となる》のではないかと予測していたことから,【回想法の活用により良い刺激として関わりたい】と命名した.2.学生の臨地実習における写真教材の活用状況(調査2)調査2の分析対象は,同意が得られた学生67名(93.1%)であった.対象者の基本属性は,平均年齢±SDは20.76±2.69歳であり,女性54名(80.6%),男性13名(19.4%),であった.学生の実習施設の内訳は,介護老人福祉施設は45名(67.2%),介護老人保健施設は22名(32.8%)であった.学生の実習中の写真教材の活用状況については,1実習初日は,5.全く活用しなかった,と回答した学生は44名と最も多く,2実習2~5日目は,2.少しは活用した,と回答した学生は29名と最も多く,3実習2週目は,5.全く活用しなかった,と回答した学生は34名と最も多かった.各実習期間では,1.よく活用した又は2.少しは活用した,と回答した学生の合計人数(割合)をみていくと,1実習初日は11名(16.4%),2実習2~5日目は40名(59.7%),3実習2週目は17名(25.4%)であった(図1).3.実習における写真教材の活用による効果(調査2)調査2の対象学生の「写真教材を活用したことは実習においてどのように役立ちましたか」に対する自由記述より得られた122記述から,3つのカテゴリー,10のサブカテゴリーが抽出された(表2).以下,カテゴリーは? 161 ?