ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第64巻 第2号 通巻 第292号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第64巻 第2号 通巻 第292号

佐藤文音,神藤隆志,藤井啓介,北濃成樹,阿部巧,慎少帥,薛載勲,城寳佳也,藤井悠也,金美珍,大藏倫博City, Ibaraki. The lower extremity physical function was assessed using 4 physical performance tests: onelegbalance with eyes open, 5-repetition sit-to-stand, timed up-and-go, and 5m habitual walk. Results: TwowayANOVA did not demonstrate a significant interaction or main effect in any physical performance test(P =0.071~0.758). Conclusion: There may not be any significant difference in effect of SSE instructed byolder volunteers and fitness experts.キーワード:スクエアステップ,運動サークル,高齢者,体力,介護予防Keywords:Square-Stepping Exercise, group exercise activity, older people, physical fitness, carepreventionⅠ.はじめに我が国の介護予防施策において,高齢ボランティアが運営する運動実践を主目的とした通いの場(以下,運動サークル)は,効果的,効率的な介護予防活動になると期待されている8).各自治体では運動サークルの普及に向けて,高齢ボランティアを養成しており7),ボランティアが活動することで地域における軽度の要介護認定者の増加が抑制されることや9),運動サークルに参加する高齢者の要介護発生リスクが低いことが報告されている6).一方,運動サークルは運動指導の専門家でない住民が実施主体となるため,課題も残っている.自治体による高齢ボランティア養成の現場では,養成を受ける者から活動への抵抗感や戸惑いの声が挙がると報告されている7,10).また,高齢者は運動の実践方法に関する教育を受けても,学んだ内容を適切におこなえず,専門家の指導のもとで運動するよりも効果が小さくなると示唆されている2) 15).大山は,スポーツ分野のボランティアについて,運動指導の専門的な知識,技術をどのように保障するかが課題であると指摘している.運動サークルは,現行の介護予防施策において,専門家が開催する運動教室と同じ通所型の介護予防サービスに位置付けられていることから8),高齢ボランティアが適切に指導をおこなうことができ,且つ専門家による指導と同程度の効果が見込める運動を実践する必要がある.しかし,各地の運動サークルでは,ご当地体操など地域住民への馴染みやすさを重視した運動がおこなわれており7),高齢ボランティアにとっての指導のしやすさや指導効果が認められたプログラムが実践されているとは限らない.スクエアステップ(Square-Stepping Exercise:SSE)は,各地の運動サークル,自治体主催の運動教室で実践されている運動であり11,13,18,19),高齢者であっても長期に亘って実践できることが報告されている20).また,高齢者が専門家の指導のもとでSSEを実践することで,下肢機能が向上すると示唆されている14).下肢28)機能の低下は,介護施設への入所,介護認3)定の発生,日常生活動作能力や手段的日常21,23)生活動作能力の低下と関連するため,SSE実践による下肢機能の低下抑制は,介護予防につながる可能性がある.さらに,重松ら19)は,ボランティアであっても概ね安全且つ適切にSSEを指導し,上手く実践できない者に対しても分かりやすく指導していたと報告している.SSEは,実践時の注意点が明確に示されているため,ボランティアも指導のポイントを把握しやすく,指導の質を保障できる可能性がある.SSEを主運動とする運動指導の下肢機能への効果は,ボランティアによる効果と専門家による効果とで差が生まれにくいと推測されるが,この点は未だ検討されていない.運動サークルの効果を運動教室との比較から明らかにすることは,サークルが担える役割を検討することにも繋がり,現行の介護予防施策の有効性や課題を見出す上で重要になると考えられる.そこで本研究では,高齢ボランティアによるSSE指導と専門? 135 ?