ブックタイトル森林のたより 718号 2013年7月

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概要

森林のたより 718号 2013年7月

ことで回避することもできます。かかり木にもなりにくく、生産性もよくなるため、現場の段取りとして、伐採木は列状になりがちです。写真4「列状間伐」ここでは、列状間伐と残存木の定性間伐も行われているため、立木配置のバランスが良く、樹冠の発達も良く、安定しています。今後、下層植生も回復していくと考えられます。写真5「自伐林家の施業」多雪地域のある自伐林家の施業地です。補助金なしで確実に収益をあげています。冠雪害を受ける前に収穫することを心がけ、効率的に施業を実施した結果、列状の伐採となっています。【間伐材の搬出を考慮した列状間伐の留意点】列状間伐は、実施条件を考慮せず行い、かえって林分が劣化する場合もあるため、悪いイメージがありますが、搬出間伐の場合には、効率が良い方法でもあります。列状間伐を行う場合、間伐後の弊害となる林型の乱れを一時的に、かつ最小限に留めることが重要です。ここで実施の条件等を整理してみます。1作業効率を確保するため、ある程度(3ha以上)のまとまりがあること。2林型を整えるため、樹冠の発達を促すためにも残存列の不良木等も除去する。3形状比(樹高cm÷胸高直径cm)が非常に高い(80以上)過密林でないこと。4台風の影響を受けにくい立地であること。等が考えられます。写真6「形状比の高い林分」ここでは、過密状態で樹高成長が比較的良好なため、形状比が高くなっています。定性間伐が不十分で劣勢木も混在しており、この林分での列状間伐の実施は、間伐後の気象害が懸念されます。所有者と受託者の間で「経営目標」を明確にする必要を感じます。写真7「間伐後の冠雪害」この林分では列状間伐後に冠雪害を受けました。形状比が高く、不安定な劣性木が被害を受けています。事前に劣性木中心の定性間伐を実施しておくことが重要です。今後の展望ある施業プランナーから「列状間伐の実施について、所有者の理解が得られない」と相談を受けることがありました。その後、彼は、残存木を守り、搬出間伐を実施する上で最低限の列状の伐採は必要であることを根気よく説明し、理解が得られたそうです。森林の状況から最適な作業手法を森林所有者に提案し、調整を行うことは施業プランナーの重要な役割です。また、現場作業において、ひと手間をかけ、工夫し、残存木の傷を防ぐといった努力を積み重ねることによって所有者との信頼関係が積み上げられていくはずです。森林を見ながら、常に改善する意欲、現場の創意工夫を大事にしていただきたいと思います。●詳しい内容を知りたい方はTEL0575ー33ー2585森林研究所まで▲写真4列状間伐▲写真5自伐林家の施業▲写真6形状比の高い林分▲写真7間伐後の冠雪害19 MORINOTAYORI