ブックタイトル森林のたより 721号 2013年10月
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森林のたより 721号 2013年10月
路網の規格と配置状況、資源の配置状況、事業体が保有する機械、レンタル・リース等で調達可能な機械、施業対象森林の地形・土壌の条件、対象森林にかかっている法規制、市町村森林整備計画に定める施業実施基準との整合性、社会的な制約等が挙げられます。作業システムを検討してみる例えば、事業区域の路網密度が150m程度と高密な数値が上がっていても、対象森林全体を見回すと、路網密度が300m近い場所もあれば路網密度が50mに満たない場所があるということは珍しいことではありません。この森林の資源がまだ生育段階にあり、立木一本あたりの材積が小さければ、路網密度が低く到達距離(集材距離)が長くなる場所では採算が合わないので現時点での収穫作業は控えて、道際と路網密度が高い場所のみで作業効率が良い車両系作業システム(グラップル木寄せや造材機での集材)を実行することが現実的でしょう。一方、路網密度が低い場所であっても資源が成熟して立木一本あたりの材積が大きく、架線系の機械を使用できる路網や地形の条件が揃っていて、集材距離が長くても採算が合う作業が可能と判断でき、集材距離に対応できる機械を保有しているか、調達可能ならば、架線系作業システムを実行することが可能となります。1車両系作業システムを検討する際の注意事項車両系作業システムで最も作業効率が上がるのは一切ワイヤロープを使用せず、全ての人員が機械に乗りっぱなしで作業する場合となりますが、そのために路網密度を上げることは、様々な条件・制約によって限界があり、単胴ウインチによる地曳き集材を併用することとなります。グラップル等車両系集材機械にウインチが装着されていれば、道から樹高プラス20m程度の距離までは比較的効率良く集材が可能となります。ただし、急傾斜地におけるウインチ下げ荷集材では、ワイヤを斜面上方へと引っ張り上げる荷掛手への身体的な負担が大きくなる上に、集材木の滑落による事故の危険性が高まります。急傾斜地での単胴ウインチによる下げ荷集材範囲は最小限にする方がよいでしょう。また、単胴ウインチ集材では、ワイヤと集材木による残存木への損傷が発生しやすくなります。将来に渡って森林経営と事業を持続するためには、傷木を作らない高度な集材技術が求められます。斜面を引きずられる集材木の流れを想定して的確な集材角度を見極め、必要に応じて中間にブロックを設置したり、当て木をして立木を保護する等の丁寧な仕事が求められます。2架線系作業システムを検討する際の注意事項架線系作業システムにおいては、荷掛け位置までの往復にかかる搬器速度と一回で集材できる材積によって、作業効率が大きく変動します。「少々無理をしても材積を多く出した方が補助金額が増える」という安易な考えではなく、使用する機械の能力に応じた最大集材距離を見極めることが重要です。また、「道が無いから、道が入らないから架線系作業システムを!」という言葉をよく耳にしますが、架線系作業システムであっても効率よく作業するためには、架線系作業システムならではの必要な条件があります。特に、タワーヤーダは、スイングヤーダと異なり必ず控え索を設置しなければならないので、控え索用のスタンプ(立木や強固な根株)が必要である上に、道の法面が高すぎると設置できません。また、1線当たりの集材量が多く、タワーヤーダの設置箇所に大量の材が集中するので、より広い作業ポイントが必要となります。更に、架線系作業システムには、架設・撤去作業という車両系作業システムには存在しない工程があるため、材木の積み替え工程が発生するフォワーダ等の小運搬が加わらないようにしなければなりま●詳しい内容を知りたい方はTEL0575ー33ー2585森林研究所までせん。その為には、各作業ポイントから直接、大型トラックで効率良く材木を運搬できる路網が求められます。路網の配置についても、機械の特性から上げ荷集材の方が作業効率が上がるため、山の高い位置に幹線道が入っていることが求められます。架線系作業システムを生産計画どおりに実行するためには、よりシビアに路網条件を整える必要があると言えます。本当に架線系作業システムが実行できる区域かどうかを見極めて事業計画を立てることが重要です。おわりに林業は、自然力を巧みに利用し、適正に森林を管理することによって、木材という資源を未来永劫、生産し続けることが可能となる産業です。先進林業国のような持続可能な森林経営が実現できるように、「残存木=将来の収穫木」「木材生産可能な区域の見極め」を意識して作業システムを検討・実行してください。架線系作業システム車両系作業システム17 MORINOTAYORI