ブックタイトル森林のたより 726号 2014年03月
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森林のたより 726号 2014年03月
森林研究所●岡本卓也●詳しい内容を知りたい方はTEL0575ー33ー2585森林研究所まではじめに県内において、ニホンジカによる造林木への剥皮(以下、シカハギ)が発生しています(写真1)。シカハギが発生すると、材内に変色や腐朽が生じるため、材価が著しく低下します。そのため、シカハギ対策を行う必要があります。現在のように材価が低迷している状況では、低コストで効果的な対策が必要と考えられますが、そのような対策はまだ開発されていません。新たな対策を考案するために各地の知見を整理したところ、次のとおりでした。1長さ1.5mほどの枝条を幹に巻き付け、一定の防止効果を得ている(九州地方)。2根張り部分が剥皮される傾向にある(岐阜県)。3設置された資材を避けるように発生する傾向にある(岐阜県)。そこで、剥皮対策資材として間伐時などに発生する枝条を使用し、岐阜県でのシカハギの発生状況に合わせて、立木の地際へ枝条を巻き付ける手法(以下、枝条巻き付け法)を試みましたので、その結果について紹介します。シカハギ防止効果は?試験は郡上市和良町のヒノキ林(平均胸高直径23cm、傾斜30度)で実施しました。枝条巻き付け法(写真2)は、次の手順で施工しました。1林内で採取した長さ50cm程度の枝条を、葉先を下にして対象木の根張り部分に密着するように配置します。2荷造り用ビニールテープを、配置した枝条の枝元部分の上から巻き付け、枝条を樹幹に固定します。※1木あたりに巻き付ける枝条の本数は、根張り部分が隠れるように適宜調整しました。効果測定およびコスト計算試験開始1年後に効果測定を実施したところ、新たに2本のシカハギの発生が確認されました(写真3)。新しいシカハギは、枝条を巻き付けていない木でのみ発生し、枝条を巻き付けた木では発生していませんでした。また、施工にかかるコストについても算出しました。施工時間は、平均胸高直径23cmの樹木で1本あたり約2分の時間がかかりました。岐阜県が公表している、「平成25年度実施設計に使用する単価表」を基に人件費を算出すると、1本あたり67円でした。次に資材費ですが、枝条は林内で収集するため0円、樹木に巻き付けるために使用するビニールテープは2円です。これらを合計すると、枝条巻き付け法は、1本あたり70円程度で施工できます。これは、市販の対策資材を用いた場合と比較すると7分の1程度となります。おわりに今回の調査では、シカハギは枝条巻き付けを行っていない木でのみ発生していましたが、その発生本数が少なく、明確な効果については明らかにできていません。また、コストについても、限られた条件での算出にとどまっています。そのため、今後も継続的に調査を行い、枝条巻き付け法によるシカハギ防止効果、その持続性ならびに設置コストなどの課題について検討をすすめていきたいと考えています。写真1.シカハギ発生林写真2.枝条巻き付け法写真3.シカハギ発生木低コストな剥皮対策の開発に向けて―枝条巻き付け法―14MORINOTAYORI