ブックタイトル森林のたより 726号 2014年03月

ページ
6/18

このページは 森林のたより 726号 2014年03月 の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

森林のたより 726号 2014年03月

生物多様性保全シリーズ2森・川・海のつながりを守る前回(1月号)では、生物多様性の3つの要素について述べましたが、今回は岐阜県の自然を生物多様性の視点から考えてみます。岐阜県には標高3千メートルを超える山々から、海抜0m地帯まで、さまざまな地形があり、その中を長良川、木曽川、揖斐川などの河川が流れ、海に注いでいます。県土を覆う森林は百万ヘクタールを超え、森林率は全国で2番目である82%の豊かさを誇っています。『清流の国ぎふ』と呼ばれる所以です。このように一見、岐阜県は自然に恵まれ、沢山の生物が生息する地域に捉えられるかもしれません。しかし、生物多様性の観点から見れば、開発による希少種の減少、アライグマ、ブラックバスなど外来生物の繁殖、ニホンジカなどの大型獣が増えすぎたことによる森林の荒廃、地球温暖化によるライチョウなどの生息域の減少など、自然環境は様々な危機にさらされています。生物多様性の保全のためには、現状の自然を見守るだけではなく、どうすれば本来生息するべき生物が健全に生息できるのかを考え、手を加えることが必要です。それが森・川・海の連続する豊かな自然の姿を守ることとなり、次の世代に豊かな自然環境を残すことになります。ニホンジカの被害が甚大な森林(垂井町内)ディアライン(シカにより下層植生や樹木の低い枝葉が食害を受けた状態)が形成されている。【自然環境保全課安藤英之】●詳しい内容を知りたい方はTEL058-272-1111内線(2700)自然環境保全課まで岐阜県の治山事業の紹介7「東濃農林事務所管内の治山事業」当事務所は多治見市、瑞浪市、土岐市の3市を管轄しています。管轄する流域の大半が、庄内川水系の本流である土岐川流域にあたり、良質の粘土が多く産出されることから、焼物の町として知られています。その歴史は古く、平安時代より陶磁器生産で栄え、志野、織部などの美濃焼が有名であることはご存知かと思われます。一方で、陶磁器生産の燃料や家庭用燃料として濫伐が行われたことや地質が脆弱だったことなど、これらの人為的、自然的な要因が作用し、地域には大規模な荒廃地いわゆる「はげ山」が多数あり、かつては「日本三大荒廃地(土岐、多治見、瀬戸にまたがる一帯)」とまで言われました。大正時代に入り国・県・市はそのはげ山の樹林化に向けた治山事業を推し進め、その効果により昭和5 0年代には豊かな緑を甦らせ、その後は甚大な山地災害の発生件数も減少しました。しかし、最近は雨の降り方が変化し、時間雨量50mm、80mm以上といったような、短時間に降る集中豪雨の回数が増え、毎年、全国の局所的な地区で甚大な災害が発生しており、災害のリスクは年々増加傾向にあります。当管内においても平成22年、23年と2カ年に渡り、梅雨や台風による豪雨で山地災害が発生し、特に平成2 3年9月2 0日の台風15号に伴う豪雨では、多治見市内の住宅団地の裏山が崩壊しました。幸い、人命や住家への直接被害はありませんでしたが、都市部で多数の住宅が密集しており、次期降雨により拡大崩壊が発生すると甚大な被害が想定されます。このため早急な対応が望まれ、災害関連緊急治山及び県単緊急治山事業により復旧工事を実施しました。施工においては、地域住民のH23災害発生後(多治見)H23治山工事完成後(多治見)方々の協力もあり、手際よく工事を進行させることができ、平成24年5月に完成しました。工事が災害発生次年度の災害シーズン前に完成できたことは、地域住民に大変喜ばれました。今回は、住宅地に隣接した工事であったため、地域住民が間近で見ることができ、事業のイメージアップ、重要性など普及啓発に大きく貢献できました。今後も各市の担当課、地域住民と連携し、治山事業の推進に努めてまいります。H23災害発生後(多治見)H23治山工事完成後(多治見)【東濃農林事務所林業課治山係内木宏人】●詳しい内容を知りたい方はTEL0572-23-1111内線(288)東濃農林事務所までMORINOTAYORI6