ブックタイトル森林のたより 736号 2015年01月
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森林のたより 736号 2015年01月
森林研究所●大洞智宏●詳しい内容を知りたい方はTEL0575ー33ー2585森林研究所までこの頃テレビなどで、間伐がされず過密になった人工林が問題とされ、その対策が急務であることが報道されています。しかし、実際に過密な林にある木にどのような特徴があるのかといったことについて、具体的に示されることはほとんどありません。対象とする林の具体的な姿がわからなければ、それを、どのように取り扱うのか決めることはできません。そこで、過密な林の状況について、県内のヒノキ林(表1)での調査結果を基に、実際の姿について考えてみたいと思います。過密林は線香林などとも言われ、太さのそろった細い木ばかりが立っているように思われています。しかし、実際に太さを測ってみると図1のように、12cm程度の木から30cmを超えるような木まで様々な太さの木があることがわかります。これは、本来間伐で伐採されるべき暴れ木や劣勢木が林に残っているためです。形状比とは樹高(m)を直径(cm)で過密な林を測ってみると割り100を掛けたものです。その値が大きいほどヒョロヒョロな状態であることを表します。形状比が高い木は、風雪害に弱いと言われています(100を超えるような木はかなり危険)。この林では、形状比130を超えるような木から、70以下の木まであります(図2)。災害に強い林にするためには、間伐の際に形状比の高い木から伐る必要があります。立木のうち葉が付いている部分を樹冠といいます(図3)。一般に大径材を生産しようとする場合、樹冠の長さが樹高の40?50%必要といわれています。この林の多くの木は、その割合を下回っています。過密な林では、隣接する木同士で葉が触れ合うため下の方にある枝に光が届かず、徐々に枝が枯れていきます。しかし、間伐を実施し、枝が枯れないようにすることで、樹高が高くなるたびに樹はじめに細い木だけが生えている?樹冠が小さい?形状比が高い?おわりに冠が大きくなり、より太くすることができます。このため、間伐後にどれだけ樹高が伸びるのかが鍵になります。今、樹冠が小さくても、樹高の伸びが期待できる林であれば、将来の太りも期待できるため、今後の樹高成長を見極めることが重要です。今後の樹高成長量は、現在の林齢と樹高の値を基に、土地ごとの樹高成長の違いを示した地位級別樹高成長曲線図を使うことで、予測することができるので、この値を施業の方針決定の参考にすることもできます。過密林の取り扱いを考える上では、前述の特徴などを念頭に置いて、間伐の方針等を立てることが重要です。過密で細い木ばかりと眺めるばかりでなく、実際に木の大きさを測り、今できることを考えてみませんか。図1胸高直径の分布図2形状比の分布05010015020025030035012 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32本数(本/ha)胸高直径(cm)本数(本/ha)05010015020025030035060 70 80 90 100 110 120 130 140形状比樹高樹冠枯れ枝図3立木イメージ樹種ヒノキ林齢(年)50密度(本/ha)1349平均樹高(m)18.7平均直径(cm)19.9平均樹冠長(m)5.8樹冠長率(%)31.0表1林分の概況MORINOTAYORIMORINOTAYORI17