ブックタイトル森林のたより 736号 2015年01月

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概要

森林のたより 736号 2015年01月

郡上市高鷲町のサラリーマン林家である山川弘保氏が平成26年度(第53回)農林水産祭において天皇杯を受賞しました。岐阜県で天皇杯を受賞したのは山川氏が8人目で林産部門(経営〈林業〉)では、昭和50年度の石原乙一氏に続き、2人目の受賞という栄誉となりました。山川弘保氏は郡上市高鷲町において代々林業を営む山川家第26代当主で、平成14年から本格的に林業を継承し、脳神経外科の医師としての病院勤務の傍ら「先祖から受け継いだ山の価値を高めて次世代に引き継ぐ林業」を基本理念として、所有山林約140ヘクタールの経営及び管理を行うため、休日には家族とともに自ら林内作業に従事しています。【持続可能な林業経営】山川氏は伐期が遅れることで齢級構成が偏っていく、森林の在り方を問題視し、5年前から毎年2ヘクタール程度の皆伐、植林を続けることで、所有山林を50年で1巡できる法正林に導く経営に取り組むとともに、立木販売の収益は路網整備に重点的に投資することで、持続可能な林業経営に向けた基盤づくりを進めています。また、森林施業において最も経費のかかる保育作業を家族共同で行うことで低コスト化を図っています。【積極的な新技術の導入】山川氏の森林・林業に対する研究心は非常に高く、読本などの情報収集で知識を高めるとともに、優れた思想や技術を有した篤林家を度々訪ね、自分が納得できる技術は積極的に取り入れています。具体的には地域に合った県内外の優良品種を積極的に導入し、優良な形質や耐雪性の継承についての検証を実施したり、県内でいち早く導入したセラミック苗の植栽後の初期成長や耐雪性の適合を検証するなど、次世代のために高品質な木材が生産できる山林を残すため探究しています。【人材の育成】山川氏が最も力を注いでいることの一つに次世代を担う人材の育成があります。将来の郡上市を支えていく市内の小学生や郡上高等学校の生徒、更には県内外で将来活躍が期待される岐阜県立森林文化アカデミーの学生に対して、自らの知識を伝えるとともに、自己所有林を学習フィールドとして積極的に提供しています。また、家族共同による保育作業は、低コスト化だけでなく、作業を通じ子息(次世代)への知識や技術の継承につながっています。【地域への貢献】山川氏は所有山林だけでなく、郡上地域の森林を良くしていきたいという強い思いから、「郡上市森林づくり推進会議」の委員に就任し、皆伐施業に関する提言を市長に行うなど、郡上地域全体を考えた森林づくりに力を注いでいます。また、「林業を通じた地域の仲間づくり」を目指して、「郡上林業友の会」を設立するなど、地域の若きリーダーとして積極的に取り組んでおり、その取り組みは「木の駅プロジェクト」を立ち上げた際は10数名の有志が参加するなど、着実に地域に浸透しつつあります。【山川氏の受賞を契機に】山川氏のこれらの取り組みは、日本の大部分を占める兼業かつ小規模な森林所有者が継続的に林業経営を行うための一つの理想形であり、多くの森林所有者の手本になると思います。平成27年秋には岐阜県において全国育樹祭が開催される予定です。県内に大きく広がる自然の豊かさを日本の将来を担う子どもたちへつないでいくという思いを込め、大会テーマは「手から手へ豊かな緑でぼくらの未来」となりました。山川氏の取り組みは、まさにこの育樹祭の開催理念を実践するものであり、県としても広く普及していきたいと考えています。山川弘保氏が天皇杯受賞【森林整備課中村恭】天皇杯を受賞した山川弘保氏セラミック苗もいち早く導入森林文化アカデミーの植栽実習●詳しい内容を知りたい方はTEL058ー272ー8491森林整備課までMORINOTAYORI 6