ブックタイトル森林のたより 762号 2017年03月

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森林のたより 762号 2017年03月

活かす知恵とを森林人51●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで「地域の森林資源と暮らしをものづくりでつなぐ」岐阜県立森林文化アカデミー講師●和田賢治●家具における国産材利用の変化ここ数年、頻繁に国産材の利用が叫ばれているように感じます。私が木工の世界に足を踏み入れた8年近く前には国産材がどうこう言う企業は本当に稀でした。それが、特に東日本大震災以降、国産材という言葉をよく聞くようになりました。特に、国内最大のインテリア家具見本市「IFFTインテリアライフスタイルリビング2015」では、「日本の木ニッポンの家具」と題された国産材を使った家具の展示会まで行われ、企業、デザイナー、家具作家が国産材をテーマに集ったことはとても大きな変化だと感じました。さらに針葉樹の家具が当たり前のように作られるようになったのもここ最近の変化です。●地域材に熱い視線が注がれるそんな中、特に注目すべき動きは地域の材料をしっかりと価値に変えていこうという取組みが増えてきたことです。オークヴィレッジ(株)のNeo WoodsやHamada Woodsなどのプロジェクトや(株)ワイス・ワイスの地域材を前面に出したシリーズ展開など、全国各地でビジネスベースでの地域材活用が盛んになってきています。それが地域の活性化にもつながり、消費者の支持も得られやすい世の中になってきたようです。●地域価値を高めるものづくり地域の資源を価値に変えることはビジネス活動の中では重要なことです。では、地域の価値を上げるための活動はどうあるべきでしょうか。資源のみが価値に変換されて都市部で売られること。これは極端に言えば、地域資源の搾取です。そこから踏み込んで地域価値を高め、魅力的な地域として人を集めるためには、地域の人々の日常にものづくりがあり、当たり前のように地域資源がその場で利用されることが重要だと考えています。私●これから年先を見たときに今後、よりグローバルな世の中になり、A I技術が発達し人間の仕事が奪われ、環境問題・エネルギー問題が深刻になり、寿命がどんどん延び、人口構成も変わり少子高齢化が極端になっていくことが予測できます。また、技術が発展し様々なものの垣根が取り壊されていく中で、よりフラットになればなるほど、格差は広がり、そして人々は孤独を味わうことになると予測する専門家もいます。バーチャル技術が進めば、より生身の人とのつながり(を実感できること)、自然とのつながり(五感で感じること)に価値が出てきます。人間のDNAに埋め込まれた太古からの自然と対峙してきた記憶はそう簡単に書き換えられないでしょう。その時に、どれだけ地域のコミュニティが確実なものとしてあるのか、どれだけ地域の資源を暮らしに活かす術が伝承されているのか、どれだけの時間自らの手を使ってものを創造しているのか。漠然とした大きな話をしてしまいましたが、パラダイムシフトの流れの中で、地域の資源と人々の暮らしを結びつけ、そして地域のコミュニティ形成におけるものづくりの役割はますます大きくなっていくものだと感じながら、日々の小さな事象を拾い集めていこうと思うのでした。が美濃加茂市で取り組む学校机やマイ椀などの一連のアベマキプロジェクトはその考えに基づいて進めています。資源を価値にすることと地域の価値を高めること、これを両輪で動かすことが求められていくでしょう。20MORINOTAYORI11