ブックタイトル森林のたより 762号 2017年03月

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概要

森林のたより 762号 2017年03月

安江正行(76)服部裕也岐阜県加茂郡白川町平成23年取材「森の名手・名人」とは、森に関わる仕事や地域生活に染み込んだ営みのうち、優れた技をもってその業を極め、他の模範となっている達人で、毎年、全国で約100名が認定されています。岐阜県においては、現在、47名の「森の名手・名人」が認定されています。この「森の名手・名人」を「森の”聞き書き甲子園“」に参加した高校生が「聞き書き取材」をしたものの中から誌面の関係上要点を抜粋したものです。なお、年齢、住所、学年は取材当時のものです。41森の名手・名人シリーズ岐阜県立加茂農林高等学校2年名人聞き手で、そいつの下刈り、雑木を伐る手入れをしとる。下刈りっていうのは苗木を植えたときに、雑木の方が勢いがいいもんで覆いかぶさってまうで、そうならんように伐るんや。最低3回くらいは下刈りしなきゃいかん。3.今と昔おれらが中学卒業した頃は、家を建て替えるならもう山しかなかった。屋根替えしても家直しても、全部山で木を伐って、その金で今まではやってこれたけど。もう10年くらい前からはほんと木が安うなってまったもんで、どうしよもないわ。外材のために林業家はものすごう痛手やわ。そのかわり、枝打ちやとか間伐は補助金があるおかげで手入れができるってことやけどね。補助金だけでは十分な日当にはならん。林業だけではとてもじゃないが生活できん状態やわ。林業のほかに農業をしとる。もう往年の畑では収入のでるような作物はなんにもないし、自分のとこで食べるだけくらいの野菜作りやわ。でも今しとる山仕事以外は、他のことは考えられんな。木を伐ったら、出しが1番大変や。おれは人の機械を借りて、去年は間伐した木を市場に出すようにしとった。利用間伐は大きいやつから伐ってそれを売ってお金にするわけや。木材を運びだすのをせり出しっていう。大きい山やと架線をはって線で。昔は牛にひかせて出しとったが、もうそやってやる人がゼロになった。遠いとこからではもう全然出せんわけや。出しても金にならへん。出しにかかってまうもんで。木の苗は、まいてから畑で3年ぐらい育てて、山に持ってって植える。昔は各家々で苗を育てたのに、植林する人も少ない年に1回ぐらいは、やっていかなかんわ。大きくなるとだんだん枝が枯れあがってまって、日が入らんようになると下草も、もう生えんようになってまう。山の広さはその山々でいろいろあるが、今行っとるので大きい山で7haぐらいの山を手入れをしとるわ。自分の山は、13haくらい。8割くらいは植林してほとんど枝打ちやるやないくらいの手入れをして、もうやればきりがないで。山のある人でも全然山に関心のない人やと山の手入れしんわけや。おれらみたいな好きな人が、たぶん集落に1人か2人くらいしかないような状態やわ。初めのうちは1人で頼まれてやりおったけど、間に合わんようになって今は友達と4人グループでやっとるわ。山があっても半分くらいは植えて30年生くらいのヒノキや。そのほかはもっと大きい木で残ったやつがあるもんもう3年目ぐらいから枝打ちをする。何回も何回もやって最終的には5、6回はやったけど、なかなかみんながみんなそんだけできんわなぁ。だいたい植えてから柱にするまでには、50年くらいはかかる。おれが中学卒業したころ植えた木で4、5年前に自分で伐って、市場に出してあのころまんだ金とれたけど、今はもうものすごう安なってしまった。今の仕事を始めようと思ったきっかけは、とにかく山が好きで、山行って仕事をすることが楽しみやった。2.大事な間伐野菜なんかでもまいたまんまやとびっしびっしに生えとるもんで、それを間引きするわけや。それと一緒のことで、びっしびっしやと木が細うなってまって太うなれんもんで、間伐するんやわ。間伐する木はその場その場で見ればわかる。職人の大事な仕事やわ。5、61.大好きな山山の手入れは主に間伐、枝打ちをしとる。チェーンソーができる前は全部のこぎりやった。チェーンソーを使うような枝はなるだけ打たん方がいいけど大きい枝は使うときもある。ヒノキを主体にやっとる。このへんは東濃ヒノキっつって非常に質がいいもんで、小さいうちから枝を打っていって柱になったときに、節が出んように。つまり、枝打ちは無節の柱をつくるためにやるんや。柱に節が全然出とらん柱のことを四方無節っていって1番単価がいいわ。目が細こうて、色が黄色っぽいような色で。少しでもまがっとれば全然だめ。2m、3m、4m、長い木やと8mぐらいに伐るわ。木によって違うけど、2本から3本柱がとれる。単価がいいのは1番もとだけやもんで、2番、3番はうんと値段が下がる。おれは植えてから造林手(枝打ち)佐見の山自作のこぎりを伸ばした様子MORINOTAYORI 8