ブックタイトル森林のたより 763号 2017年04月

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概要

森林のたより 763号 2017年04月

91・3%×66%=31%活かす知恵とを森林人52●詳しい内容を知りたい方はTEL(0575)35ー2525県立森林文化アカデミーまで岐阜県立森林文化アカデミー教授●松井勅尚●サクラサク桜の季節が巡ってきました。冬から春を迎え、山々の風景の中に薄いピンクの花を見つけることが出来ます。私たちはその花の美しさにどれだけ多くの元気を頂いて来たことでしょう。日本には四季があり、私たち日本人はその移ろいゆく美しさに惹かれます。移ろいゆくすべてに惹かれる…それは、日本人の多様性を受け入れる和の思想であり、四季折々で変化していく森林の姿から学んでいると私は思うのです。●・3%さて、皆さんご存知の通り66%(※1)は日本の森林率、31%(※1)は木材の自給率です。では、91・3%とは、何の数字でしょうか?実は日本の都市部に集中している人口の割合です。東京都には日本の人口の10分の1が集中しており、今も増え続けているのです。岐阜県をみてみると、岐阜市の人口は約40万人。県全体のなんと5分の1が集中しているのです。これは日本では当たり前のようになっていますが、先進国の中でも前例がないことのようです。週末の過ごし方はショッピングモール。山や川には意識が向かないのが現実です。日本人の意識はどこまで都市へと向かって行くのでしょうか?●より多くの人の意識を森林へより多くの人の意識を森林へと向けるためには、都市部での木育の拠点が必要であるという考えから、岐阜県は、2019年4月開館を目指し、「森の恵みのおもちゃ美術館(仮称)」を設置することを決めました。“おもちゃ”は子どもだけの特権ではなく、どの世代でも興味を引くものであるに違いない。そんな思いを胸に“木のおもちゃ”に特化した施設で、山や川への無関心層に関心を持ってもらうためには、どのようなアプローチをしたらいいのかを模索してきました。て楽しかったです。木を削るのも普段なかなかできない体験で楽しかったです。●岐阜県がこんなに森林が多いことを初めて知りました。実践して感じたことは、「現代版井戸端会議」。子育て中のママ達のコミュニケーションの場となり、洗濯や洗い物をしながら…の代わりに、木で作りながらの喋り場となりました。●今後91・3%の都市部の人々の意識が、日本の意思決定に大きく影響します。つまり…91・3%の人が山との繋がりを意識することが、引いては木材自給率を引き上げ、ただの「山」を「宝の山」へと変えてくれると思うのです。「ぎふ木育カフェ」は、本年度は飛騨や東濃へエリアを拡大し、年間8回実施する予定です。「森の恵みのおもちゃ美術館(仮称)」が拠点となり、森林も人も活かす知恵を岐阜県から全国へ発信していくことを切に願っています。※1.林野庁ホームページ「森林・林業学習館」よりそのアプローチの1つとして「ぎふ木育カフェ」をスタートしました。●「ぎふ木育カフェ」「ぎふ木育カフェ」とは、木のブローチや栞等、木の小物を作りながら、お喋りをする場を設け、人と人、人と森林の距離を近くする実験的試みで2015年から実践し、プログラム開発してきました。対象者は主に未就学児のお子さんを持つ子育て中のお母さんたちです。内容は、岐阜県の森林率や、木と共に暮らしてきた生活が伝承されなくなった課題等を伝えた後、「昔の遊びは?」「山や川の自然体験の思い出は?」「あったらいいな…こんな森の恵みのおもちゃ美術館(仮称)!」等、3つのテーマでお喋りをします。木育カフェで最も重要なルールは、人の話はよく聞き、否定しないこと。そうすることで人は安心して話すことができます。誰の話も受け入れる・・・それは多様性を認めることにつながっているように思います。以下のような感想がありました。●たくさんのお母さん達とお話しができ91加納西認定こども園での「ぎふ木育カフェ」風景MORINOTAYORI 6