ブックタイトル森林のたより 765号 2017年06月

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概要

森林のたより 765号 2017年06月

(写真)、高木性種との競合に勝ったと考えられます。天然更新計画時の留意点前生樹のなかに萌芽力が強い低木性の競合種が存在する場合、それらの萌芽によって高木性種が被圧される恐れがあるため、更新期間中に「刈り出し(※3)」を計画する必要があります。なお、天然更新は、高木性種等の判別と更新状況を判断する知識を活用し、状況に応じた施業が求められる方法です。森林の更新を計画するときには、人工造林も選択肢に入れて、確実な更新方法を選んでください。(※1)天然更新自然に落下した種子から発芽した稚樹や、伐根からの萌芽を成長させて、森林を更新する方法です。(※2)天然更新完了基準「更新樹種は高木性種であること」、「更新樹種が高さ50cm以上かつ競合植物の高さ以上をもって3,000本/ha以上成立すること」と定められています。(※3)刈り出し更新樹種(高木性種)を被圧している周囲の競合植物を刈り払う作業です。の幹が出ていた場合、それぞれを1本として計上しました。シロモジとヒサカキの萌芽が高木性種と競合しました皆伐後5年半経過時の高木性種の個体数は13,000本/ha以上ありました。しかし、低木性種のシロモジ・ヒサカキと競合したことが原因で樹高成長が抑えられ、岐阜県の天然更新完了基準(※2)を満たす高木性種の個体数は、1,875本/haに留まり、更新完了とみなせませんでした。シロモジとヒサカキは前生樹として存在し、皆伐前の樹幹数の合計は約5,600本/haでしたが、皆伐後5年半経過時には、皆伐前の6倍近い約32,000本/haに増加しました。このうち萌芽由来の樹幹数は約30,000本/haあり、林地全体の樹幹数の約8割を占めていました(図)。皆伐と同時に行った刈り払いにより、この2樹種の萌芽成長が促進されはじめに森林の更新方法のひとつに天然更新(※1)があります。この方法を適用するときは、林床の植生や土壌の状態、種子の供給源となる母樹との位置関係、獣害の有無など様々な点を考慮し、実施箇所に適しているかを、慎重に判断しないといけません。ここでは、天然更新を妨げる「競合植物」に関する留意点について、県内の試験事例を踏まえて紹介します。ヒノキ林の皆伐後に天然更新の試験を行いました郡上市にある約50年生のヒノキ人工林において、H23年春に皆伐と前生樹(下層木)の刈り払いを行い、跡地への樹木の侵入状況を調査しました。また、皆伐前と、皆伐後5年半経過時(H28年秋)の、地上高1・2m(胸高)以上の樹幹数を調査しました。なお、樹幹数は、ひとつの個体(株)から複数本森林研究所●久田善純●詳しい内容を知りたい方はTEL0575ー33ー2585森林研究所まで天然更新を計画するときの留意点?競合植物に気をつけましょう?図皆伐後5年半経過時の樹幹数(胸高以上)写真萌芽により繁茂したシロモジの様子0 5,000 10,000 15,000 20,000その他ヒサカキシロモジエゴノキシキミタムシバアオハダアカメガシワサカキ(本/ha)高木性小高木性低木性各樹種の全体の樹幹数萌芽実生MORINOTAYORI 18