ブックタイトル森林のたより 765号 2017年06月

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概要

森林のたより 765号 2017年06月

林業先進国であるドイツで行われている安価で丈夫な道づくり(屋根型構造)を、平成23年度にたかやま林業・建設業協同組合が、高山市清見町の県営林で開設しました。開設にあたっては、岐阜県がドイツから招聘したフォレスターおよび作設オペレーターの直接指導を受けました。開設後5年が経過した状況を踏まえ、数多い技術の中で災害の原因となる水の処理方法について紹介します。屋根型構造の道土は水を含むと柔らかく、乾くと硬くなります。また水は集中したり、流れに勢いが付くと威力を増します。丈夫な道づくりをするには、路面・路体に雨水等を浸み込ませないよう速やかに排水することと、雨水を集中させることなく勢いを弱めて林地内に還元する分散排水が重要です。その機能を持たせた構造が、路面中央部を高くしたいわゆる屋根型構造です。(図―1)こうすることにより、雨水が盛土法面と素掘り側溝へ半々に分かれて分散排水されます。ここで重要なことは、雨水を横断方向に分散排水させることなので、横断勾配は縦断勾配より急にすることです側。溝の横断排水は管渠で行いますが、ポイントは流末処理で、流速を抑えて地山に誘導することです。管渠は2?3%で敷設しますが、流末が土羽面になった場合は、雑石などで階段状に水路を作り、流速を抑えて地山まで誘導します。(図―2)管渠の吐口を盛土法尻の地山に合せて設置した場合、敷設勾配が急になり流速を速めて排水することとなり、地山浸食の原因になります。また、横断排水の間隔は、30?50mが目安です。写真―1は、平成23年に開設した伊西3号線です。降雨時の状況写真―2は、強雨時の状況です。路面水は、縦断方向へ流れることなく分散排水されており、盛土面の浸食もありません。写真―3は、横断排水の呑み口の状況です。側溝からスロープを付け、桝の大きさも維持管理しやすいようにバケットの大きさにしてあります。5年経過していますが、26年豪雨災の時も閉塞はしていません。これは、横断排水間隔が60mで、縦断勾配も7%と緩やかなことから、側溝の流量・流速が抑えられ、枝条や石礫が流れ込まないためです。写真―4は、流末です。管渠の敷設勾配が3%と階段状の水路のため、流速が抑えられて地山へ排水されているため、地山の洗掘はありません。小渓流の横断排水処理写真―5は、常水がほとんど無い小渓流の横断排水の呑み口です。通常、管渠の呑み口は流心に設置しますが、あえて少し離れたところに設置します。これは、勢いよく流れ込んできた濁水が石積壁にあたることで流速を抑え、混流物を沈殿させてから排水する仕組みです。水衝部、沈砂域、静水域の機能を持たせた呑み口構造のため、φ300の管渠でも閉塞したことはありません。●詳しい内容を知りたい方はTEL0577ー33ー1111内線(492)飛騨農林事務所まで治山・林道研究課題治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究を行っています。今年2月に行われた発表会(本誌763号18?19ページ)で発表された研究課題を紹介します。飛騨農林事務所林業課中谷和司欧州に学ぶ安価で丈夫な道づくり??????????????????????????????????????????????????????? ? ?? ???? ????????写真-1?????????????????????図-2写真-2??????????????????????写真-3?????写真-4?????????写真-5??????????????????????????????????図-1MORINOTAYORI19