ブックタイトル森林のたより 765号 2017年06月

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概要

森林のたより 765号 2017年06月

寺澤俊二(72)踏込龍生岐阜県恵那市平成24年取材「森の名手・名人」とは、森に関わる仕事や地域生活に染み込んだ営みのうち、優れた技をもってその業を極め、他の模範となっている達人で、毎年、全国で約100名が認定されています。岐阜県においては、現在、47名の「森の名手・名人」が認定されています。この「森の名手・名人」を「森の”聞き書き甲子園“」に参加した高校生が「聞き書き取材」をしたものの中から誌面の関係上要点を抜粋したものです。なお、年齢、住所、学年は取材当時のものです。42森の名手・名人シリーズ岐阜県立飛騨高山高等学校1年名人聞き手えて作る。それも一つのポイントやで。作業のしやすいように道路を変更しながら作ってく。急な勾配のところを、一つカーブさせて上へ行く。1回道を作っちゃうと、次は何年か先でもちょっと直すだけで通れるようになる。3.安全に作業をするためにチェーンソーは1日に1回研いで毎日使う。燃料は1日3lか、4lくらいいる。チェーンソーで伐ると木のくずが出るわけよ。それが機械の中へ入るもんで、それをコンプレッサーでたまにきれいに掃除せんと、調子が悪うなる。ワイヤーは木を引っ張ったり、つったりいろいろするわけよ。ワイヤーは傷がついて切れかけたやつは使っちゃいかん。使ったときに切れて頭の上へ落ちたり、積むときに切れて、機械が壊れたりするといかんで。ワイヤーは常に傷のない新しいのを使うのがポイントやわな。安全面が一番大切やで。木を引きだす「引っ張りだこ」ちゅうのがある。300kgくらいのものを引く力が出るわけ。で、長さが40mくらいあるワイヤーをつないで、引き寄せる。けど運び出すのがちょこっとずつしかできん。今はユンボ(バックホー)にウインチがついとって、滑車がついとって、木を巻き上げるようなふうだわな。キャタピラがついたのは、木を運搬する機械。あれにもウインチがついとって引っ張れる。下りなら0・8から1立方米近くまで積めるのな。あまり急なとこは滑るで危ないけどな。運搬機は、道のないところでも平らなら、山の中まで入っていけるで非常に便利だに。ちょっとした川のようなとこは、木を並べて橋を作って、多少軟らかくてもキャタピラがあるもんで動けるし。大事に使っとるでの。後はユンボだな。今のは2台目でキャタピラき、ほとんどが道路まで出てくるちょうどいい間隔なんよ。上の方へ倒すと上の道へ出るし、下の方へ倒すと下の道へ出るもんで。道の幅は3mから3m50くらいかな。作った道が崩れるとなかなかつながらないもんで。崩れてしまうと道が通れんようになっちゃうから、また掘るか、どっかで余った土をダンプで運んできて入れるかしなければいけない。そういうことのないようにするにはどうしたらいいかを考えて道を作ったり、排水をしたりするわけよ。だから、石のブロックを積むとか、石を並べといて頑丈に作るかな。そのときにビニールパイプの太い排水管を入れて水を流し出すと、一番いいわな。排水の処理が第一や。作っとるときに、水がたくさん出てきた場合は、木を敷いたり、石を敷き詰めたりして、その上に道を作っていく。それと、大きな石が正面にドーンと出ているところは、その石をよけて、石の上へあがるか遠回りして行くように道を変木でもポキンと折れてしまう。それをきっかけに山全体が崩れてくることもある。山崩れして下流に行くのが一番の災害の大きいことやで。山崩れは雨の場合によく起きるし、林道を作っていくときに山崩れの起きんような方法でいかなかん。地域には「大栗林業クラブ」ちゅうのがあって、森林組合から委託を受けて、その人たちと一緒に、近くの地域の山を持っとる人のとこへ行って、間伐をやったりいろいろ活動はしとる。2.道づくりは工夫が大切山のどこを切り開くかどうやって決めとるかっちゅうと、道はヘアピンカーブみたいに回って上にいくんやが、その下の道路と折り返した上の道路との間隔が40mから50mくらいになるようにしとる。木は将来20mになるもんで、それをパタンと倒して引っ張り出す作業をすると1.道づくりで山の環境を守る初めて作業道を作ったのは、11年くらい前かな。県の「作業道研修」を受けてな、道を作っとった。今の時代、山の中まで車で入れんと仕事にならんし、手入れもしやすいで。手入れをしてないと山に日光が入らんわけよ。陽が入らんちゅうと、山全体が露出しちゃうわけ。土が下まで流れ出ちゃうっていうこと。草が生えとらんと、水が流れるわけ。そうすると上の方が崩れる。木は倒れるわけよ。倒れると根っこが上にあがってきちゃう。押さえる勢いと水の勢いで崩れてくるわけよ。雪でも同じことが言えるわけでよ。雪の場合は温度がプラスになるとそういうことが起こるわけ。融雪注意って言うけど、温度が3、4度になると雨が木に凍りついて、凍りついたところに雪が乗ってくるわけ、そうすると、木が倒れてくる。そこにキツツキが穴をあけた木があると、それで太い道づくり山と人生の道づくりMORINOTAYORI 6