ブックタイトル森林のたより 765号 2017年06月

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概要

森林のたより 765号 2017年06月

【森の名手・名人編集担当公益社団法人岐阜県緑化推進委員会専務理事黒﨑隆司】※原本は長文のため、文章の一部を割愛しています。●生年月日:昭和15年3月5日生まれ●職業:農林業寺澤俊二さんのプロフィールてらさわしゅんじ昭和33年以来、先代から承継した約20haの山林に植栽や保育を行い、80%を人工林にして育ててきた。林業の効率化や低コスト化を図るために、早くからバックホウ等の機械を導入し、自らの作業で1000m以上の作業道を開設して、年間100?120立方メートルの間伐材を「山岡木の駅」へ出荷しているほか、「大栗林業クラブ」を結成し、恵南森林組合と連携して、地域の間伐等を進めている。平成18年から恵那市の「恵那の森づくり推進委員会」の委員を務め、森林づくりへの提言や木工工作材料の提供など、恵那市の進める林業施策の推進に協力している。平成24年には、岐阜県林業経営コンクールの最優秀を受賞し、現在も地域の森林づくりに活躍中である。なお、聞き手の踏込龍生さんは、現在岐阜県森林組合連合会岐阜林産物共販所で活躍中である。名人ふみこみりゅうせい働く。そういう循環で、だれもが生活できて、また後継者もできて、成果も現れるようになるわなあ。6.未来へつなぐ道山は我が人生木材の価格が低迷しとるもんで、予定通りに木を売って、いろいろ買うとか生活するとか、そういうことが全くできんようになっちゃっとるもんで、そういうことが一番つらいわな。1年や2年でそういうことになりゃあきらめもつくけど、何せ50年も前からやっとったことが、だんだん駄目になっていくちゅうことやもんで、やっぱしつらいわな。怪我をしたこともあるし。チェーンソーで伐った木が回ってきて、背中に当たって、背骨が折れて入院になって、1ケ月くらいかかったこともあったな。やけどだんだん慎重になってくるし、年とってきたもんで、無理はできんようんなったけど、怪我してもまたやる気が起きるちゅうことは、山が好きだちゅうことやで。将来はこれもやっぱり道をつけてよ、木を出すようにしたいとは思っとる。道をつけると山がものすごい良くなる。きれいになる。素晴らしい価値の出るもんだに、道づくりっちゅうもんは。どんな道を作るにしてもよ、人生の道だわな。道筋を作ることは初めはだれでも苦労するわ。一番初めに道を作る人は苦労するけど後から通って行く人は楽だわの。ただ、年をとってくるもんで後継者に渡しての、一生懸命やってもらいたいちゅうことも一つのお願いだがの。山が好きだで熱心になれる。怪我をしても失敗を乗り越えても、挑戦して、木を植えて育てたいと、そういうことは思っとる。山は我が人生だ。のものも回らんし。木は、1回植えて20年、50年くらいたたんと大きくならんもんで、長い目でいくというのがよ。5.共同経営山の仕事も助け合いとにかく木材の単価が上がってこないと、どうしようもない。木は国が補助してやれんから、100%自由貿易なんや。それで輸入品がどんどん入ってきて、その輸入と同じような値で日本の国産材も売ろうとするもんで、値が安くなる。多少高くしたいけど、外材の基本ベースに合わせて日本の結果も変わってくるわけよ。それに打ち勝つだけのいいものを作っていかんと、需要が伸びんわな。それには「共同化して、コストを安くして、いいものを作る」ことに心がけておる。一つのブロック、一つの仕事をするところから30町歩くらい(約30ヘクタール)の規模でないと。機械を買っても、人を頼んできてやっても、わずかこんだけの山にどえらい立派な道を作っても多くの方々の山へ続いとらにゃ何にもならへんろ。そういう意味で、30町歩の範囲をAさんもBさんもCさんも、同じ機械や道を利用してやるようなことじゃないと駄目なわけよ。国の政策もそういう風になってかんと。それに対してはどんだけの補助金出しますよと。その代わり「伐った木を山に捨てとっちゃあかんわけよ。利用間伐ちゅうて、出してきて、柱にしたり、材料にしたりして市場へ売りなさい」と、ルールを決めて、システム化しないと。こういう風に共同で林業経営に当たるということをこの将来は第一にする。個人の力ではどうにもならん。共同で施業をして、森づくりに励むっちゅうことやわね。作った道は使って、機械も使って、何もかも使って運営していくと一番ええのな。機械も使う、道も使う、人間もがゴムだわな、初めは鉄だったけどな。鉄の方が山にはむいとる。鉄の方が滑らんでな。ユンボの場合は常に水平にして仕事をする。そうすると力が出るし、危なくないのでな。技術につながるのは、安全にやることなのな。4.植えて・育てて・利用する生きた森づくり手入れには枝打ちというもんがある。高いとこの枝打ちは、梯子を使ってやる。枝打ちは柱が1本とれるくらいの範囲をやるから、大体4m位の高さまでだもんで、そのくらいの高さがありゃいいわけよ。それを1本の木に対して2回から3回やるわけよ。初めは15年くらいでやって、それから25年くらいでやって、その後は35年くらいの3回の計画でやるわけよ。主にヒノキをやるわな。両刃の枝打ち鉈でよ、下からと上からとで節はきれいに落といて、肉が巻き込むようにとるわけよ。家の内装材に使うような場合は、やっぱり手入れをしっかりして、節目が無くて木の目が細かい方が、丈夫で美しく見えるわけよ。私の森づくりの目安っていうのは「植えて、育てて、伐って、利用する」という、そういう生きた森づくりが基本。そうせんと手入れそ寺澤さんが切り開いた道引っ張りだこを使って木を引き出すMORINOTAYORI7