ブックタイトル森林のたより 767号 2017年08月

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概要

森林のたより 767号 2017年08月

●詳しい内容を知りたい方はTEL050ー3160ー6090(代)岐阜森林管理署森林ふれあい担当まで国有林の現場から赤沼田の天保林11岐阜森林管理署大島愛彦・平杤潤己赤沼田の天保林。何と読むでしょうか赤?沼田(あかんた)の天保林(てんぽりん)と読みます。今回は岐阜森林管理署で管理している、江戸時代の天保年間(170年以上前)に植えられた国内でも例の少ない歴史ある人工林を紹介します。赤沼田の天保林の概要天領時代の天保14年(1843)に植栽されたヒノキを主とする高齢級の人工林で、中部森林管理局管内で最も古く貴重な林分です。歴史的、学術的に価値が高く、保護するために赤沼田天保ヒノキ希少個体群保護林に指定されています。○所在地下呂市小坂町赤沼田赤沼田国有林232い、ろ林小班○面積2・97ha○成立本数870本○樹種別面積割合ヒノキ69%、サワラ13%、スギ2%、その他針葉樹8%、広葉樹8%赤沼田の天保林の由来古文書によると、飛騨の天領林政は享保6年(1721年)以降、たびたび植樹令を発して森林資源の枯渇に対処してきましたが、山村住民にとっても伐採停止は死活問題であり、植栽に励まざるを得ませんでした。天保12年(1841年)小坂村ほか46村に対し、1年に1戸につき50本の公役造林を課し、翌年から実行され、赤沼田村では天保13年に3,625本が植栽されました。(天保14年の植栽本数は不明)天保林はこの時期に植栽された、ただ一つ現存する造林地です。苗木は天然のヒノキ、サワラの稚樹を山引きしたものが植えられました。当時はヒノキ、サワラの見分けがつかず、混じって植えられたものと考えられています。明治、大正時代に枝打ち、間伐が実行されましたが、その後は手を加えていません。赤沼田の天保林の成長調査赤沼田の天保林の研究成果として、平成27年度の中部森林学会で発表された高齢級ヒノキ人工林の成長調査の内容を紹介します。平成26年10月に林内で立ち枯れ、林道、歩道等の危険木となったヒノキ1本、サワラ2本を伐倒しました。これらの樹幹解析(成長過程の調査)を行い、飛騨川森林計画区の人工林長伐期複層林施業の収穫予想表と比較したところ、樹齢70年以降は予想表を上回り、高齢になっても成長は衰えていませんでした。樹高は樹齢150年時点で、予想表の22mに対して調査木は32mと44%程度上回りました。また、肥大成長(地上20cmにおける直径方向の成長)は樹齢150年時点で10%、幹材積は31%程度予想表を上回る結果となりました。特に高齢になってからの樹高差が予想表と比較して顕著に表れたこと、また250年を超える木曽ヒノキも高齢になってから一定の成長を続けている報告もあり、赤沼田の天保林は、人工林長伐期施業の参考として更にデータの蓄積が望まれています。赤沼田の天保林へのご案内赤沼田の天保林は誰でも自由に入ることができ、森林内に駐車スペースもあります。林の中には1kmほどの遊歩道があり、業務の視察やプライベートでも訪れてみてはいかがでしょうか。道の駅「はなもも」の手前(西側)の道を南に下り、橋を渡って森林内を走って行くと駐車スペースがあります。道の駅「はなもも」から約3・8km。駐車スペースの前には岐阜森林管理署の職員が製作した案内看板が立っています。MORINOTAYORI 16