ブックタイトル森林のたより 768号 2017年09月

ページ
15/18

このページは 森林のたより 768号 2017年09月 の電子ブックに掲載されている15ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

森林のたより 768号 2017年09月

はじめに平成27年3月に発表された「岐阜県強靭化計画アクションプラン2015」を基に既設谷止工の機能強化を図るため中濃農林事務所管内において谷止工の嵩上げを行いました。施工の中で浮かび上がった課題、注意点を紹介します。事業概要既設谷止工の上流には、堆積土砂や雪害による倒木が見られ、大雨等があった際に、流れ木、土砂流出が発生して下流の集落に被害を与える危険性がありました。当初、既設谷止工の上流に新たに谷止工を設置する対策をする予定でしたが、既設谷止工が障害となり、設置した後の管理、施設の整備が困難となるため既設谷止工を生かす計画としました既。設堰堤の位置は両岸に岩盤が露出し河川幅も狭く谷止工の設置位置としては適切であり、既設谷止工を嵩上げし、背面の土砂を排土することにより上流に堆積する土砂を捕捉する4型の構造としました。嵩上げの施工状況既設谷止工の袖天端を取り壊したところ玉石コンクリートであることが分かりました。また、コンクリートの打継目部分の玉石とコンクリートが一体化していない箇所があることや、現地発生材が含まれ、コンクリートの厚みが適切でない箇所があることが分かりました。玉石コンクリート工は、中詰材の上にコンクリートを被覆した構造物で、本来ならコンクリートにある程度厚みを持たせる必要があります。しかし、今回施工した既設谷止工はコンクリートの厚みが極端に薄い箇所が複数見られたため、壁面に等間隔に削孔を行うと構造物の耐久性を著しく損なう可能性がありました。検討の結果、新旧コンクリートの接合面については、当初計画していた鉄筋挿入工から、ボンドを使用する工法へ変更しました。まとめ既設構造物の嵩上げを行う場合には外観の目視やシュミットハンマー試験といった簡易な試験だけで判断せず、ボーリング試験等の構造物内部の状態を確認ができる詳細な試験を行う必要があることが分かりました。現在県では、治山施設の点検を順次行っています。その中で、老朽化した施設を生かし、災害抑止の効果が弱まりつつある構造物の補修又は補強に県全体として取り組んでいます。強靭化対策事業は前例の少ない工事であるため、これからの強靭化事業の参考になれば幸いです。●詳しい内容を知りたい方はTEL0575ー33ー4011(代)中濃農林事務所林業課まで?既設谷止工における一考察?治山・林道研究課題治山、林道の各研究会では、日頃の業務で直面する課題について、調査・研究を行っています。今年2月に行われた発表会(本誌763号18?19ページ)で発表された研究課題を紹介します。中濃農林事務所林業課大坪武司・高木規充MORINOTAYORI15